・デジタル(メモリー)オーディオプレーヤーも音の勝負となってきたのだろうか。ケバケバしい色とボディ表面の反射で、デザインを台無しにし続けているソニーですら、やっと音の良さを言い出した。
・ステレオヘッドホン「MDR-E888LP」は、ネット上のデータによると、1994年頃の発売らしい。何でいまごろレビューか、というと、私もデジタルオーディオプレーヤーなるものを使い始め、CDからのリッピング、MP3変換などを通し、20年以上前のFM録音のカセットテープ、圧縮音楽と同類ではあるがMDプレーヤーの、その音の良さに気づくことになったためである。21世紀になって、音はむしろ退化しているのか。せめて手に届くヘッドホンを取り替えひっかえして、良い音を取り戻したいと思った。ただし想像を絶するような値段のヘッドホンを、ありがたがって持ち上げるようなことは、(したくとも)できない。
・このヘッドホンが長生きしているのは、むしろその欠点にあった。カタログによると、“バイオセルロース振動板採用”、“ネオジウムマグネット採用”は良しとして、“耳にピッタリの装着感を実現するフレキシブルダクト、うす型ユニット”が自分の耳には問題で、全く収まってくれない。歩きながら聞くには、特に左側はコードをぶら下げることになるため、手を添えていないとならない。また付属のイヤーパッドを装着すると収まりはやや良くなるが、高域の音ががらりと変わってくすんだ音に。“耳への収まり具合”で音が激変することは、カナル(運河!? いや、イヤーカナル;外耳道の略)タイプ、「MDR-EX71SL」でも経験済みで、評価が大きく割れる原因のひとつと考えている。購入当時は解決策が見つからなかったので、結局何年間もお蔵入り。したがってこのモデルを使うときは、静止し、コードが重力の影響を受けない状態で。自分は就寝時にベッドや布団で横になりながら、聞くことにした。
・実は今年、“信濃町モデル”ともいわれる「MDR-CD900ST」を購入。なんと「MDR-E888LP」はインナーイヤー型であるにもかかわらず、かなりモニター用ヘッドホンに迫る音質を持っていると気付く。モニター用の正確な音は、“つまらない音”、などとも言われがちだが、録音元のノイズや音飛び、低域から高域までのバランスなどを的確に表現してくれる。また感度が高いため、音漏れはあるが、広がりと繊細感、量感豊かな表現が特徴だ。決して無味乾燥な音ではない。欠点を指摘される場合は、たぶん使用している音源やプレーヤー自体が、評価者の嗜好に合う音域の音を含んでいない(または再現できない)からではないか、とも考えている。
・ヒトは、天候、体調(耳と鼻の通り具合)、気分などによって“音の聞こえ具合”が微妙に変わるようだ。デジタルオーディオプレーヤーのイコライザー調整で、どの音域をどれ位持ち上げたら良いか、など、迷った時には、“標準”としての威力は大。まさか良い音(迫力など)を追求するあまり、イコライザーの全音域を持ち上げる、なんて調整はしないだろう(結局フラットに近づく)。あくまで他の音域に対し、相対的にどれだけ持ち上げるか(下げるか)、味付け具合が肝心。上げ過ぎるとかえってその音域付近が曇ってしまい、逆効果となることも。このヘッドホンでは、どの音域にどの楽器、ボーカル、雰囲気などの成分が存在しているかよく分かるし、無茶な設定に気付かせてくれる。カナル型では何となく耳が痛くなってくることでも分かるので、ぜひ、我が身のこと。音量や設定は控え目にして、耳をいたわりたい。
・ノイズキャンセル機能が注目を浴びており、ただでさえ、電車や街の音にさらされている中、その逆相の音をぶつけて消音させるという、その原理は分かるが、耳への負担や音質を考えたときには悪影響の方が心配だ。また、“どうせ街の中で聞くのに、音質を云々するのはあまり意味がない”という意見も目にするが、“では、いったい、いつ良い音に接するつもりなのか? 満足度の差は小さくないぞ! ”と、問いたい。
・最後に“耳への収まり具合”を改善する「E888蘇生・お出かけグッズ」が欲しい。ソニーさん、ホントに耳型いっぱいあるのでしょうか。もう一回り大きく、高域のくすみ防止のため、イヤーパッドのネット部分が空いているアタッチメント、そして、左側から出ているコードをシャツのポケットなどに止めるクリップなど、出してくれないかナ。
2006/11/ 5
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エビちゃん 2007/08/09 0:48
・あえて改造することはお勧めしない。再びのステレオヘッドホン「MDR-E888LP」だが、実は「MDR-E888LP・改」ともいうべきか、オリジナル・モデルの話ではない(悪しからず)。ただし積極的改造話ではなく、耳に入る面のプラスチックの穴あきグリルが破損。"和紙"とも言われているスクリーンは、とっくに外れてしまっていたので、バイオセルロース・ダイアフラムの金属製プロテクターが剥きだし状態に。ここで、大きな変化に気付いたのでレポートすることにした。 それまで"和紙"が外れた状態で聞いていたが、以前書いたように自分の耳には収まりが悪く、かといってイヤーパッド(アタッチメント)を装着すると、高域の音ががらりと変わってくすんだ音になるのもイヤ。そこで、発泡ウレタンの"ネット部分が空いているアタッチメント"を自作(SONY製EP-E1使用,ハサミで丸い穴が空くようにカット)して装着。後日購入したMDR-EX85SLの"クールで繊細"な高音域にはかなわないが、就寝前などには最適な"やわらか,しなやかな音"をソコソコ楽しんでいた。ところが、金属製プロテクターが剥き出しになったとたん音荒れがひどい。それも急にビリビリしたり歪んだりするのでなく、なんとなくササクレだったような、トゲがあるようなノイズ感。部品が壊れたのだから、もっと大きな変化があるものと思いこんでいた。 が、とても就寝前に落ち着いて聞いていられるような代物ではない。 ものは試しにと、ハサミで穴あき加工したものから新品に交換(スペアーイヤーパッドは4コ1パックだったので新規購入なし)。 ・この状態では、"イヤーパッド(アタッチメント)"装着が大前提となろう。形式はオープンエアダイナミック型だが、イヤーパッドが口径16mmのドライバーユニットと耳とをほど良く一体化。重厚で繊細な音の空間を生み出している。つまりは、破損した穴あきグリルの役目を果たし(たぶんイコライザー効果で)、音調を整えている。 それどころか、EX85SLなどのイヤーカナル型が、ドライバーユニットから細い空洞を通して外耳道に対し斜めに音を押し出しているのと比べ、ドライバーユニット全体で駆動することに。そしてE888独自の"バイオセルロース振動板"がフルにその能力を取り戻し、低音はさらに"ブルン"と揺れ、高音はさらに"ピキーン"と駆け上がる。カタログデータはE888もEX85SLも良く似ているが、極端に言えば、低音・高音それぞれ倍に広がっているような印象。ボサノバなどの大型・中型の太鼓の音などは皮の突っ張り方がひと味違う。涼やかなボーカルやハイハット(シンバル)、ストリングスなどはEX85SLにかなわないが、人肌を感じる暖かさと繊細さ、音空間の広がりがとても良い。まさか現代的な音の魅力にあふれるEX85SLの向こうを張って戦えるとは。"いろいろな音や曲を聞き比べたくなる"、そんなひとときが再び訪れる。 ・この時代、不明朗なモノは受けない。選挙や政治の事ではなく、『私的録音録画補償金制度』の維持(拡大)と引き替えに、1世代9回コピーを認めるという、「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」 の言っていること。集めた金を、はたして我々の利益につながるナニかに適正に使っているのか。そして『私的録音録画の自由』が、いつから『補償金と引き替えに自由(・・・なのだろうか?)』となったのか。不明朗このうえない。そもそも地デジの時代、メモリーチップなどの記録媒体を用いない限り、音声も画像も『見聞きする』ことは不可能。そのうち『複製したものを見聞きする』かもしれないテレビ自体や受信するアンテナ、音を出すスピーカーやヘッドホンなど、動作に必要な電気代、そして人体の2つの耳や目にも補償金がかけられるかも!? 人頭税か? そういえば9回の根拠は、標準的家族構成を3人とするってくだりもあったな・・・。 くわばら、くわばら。 2007/ 8/ 9




エビちゃん 2007/11/04 14:16
・まったく参りました。 最初のレビュー書きから、かれこれ1年、同じモデルが心を惹き付け続け、とうとう再購入を果たしました。“イヤーパッド(アタッチメント)を装着すると、高域の音ががらりと変わってくすんだ音になる”や、“MDR-EX85SLの“クールで繊細”な高音域にはかなわない”との印象は、歩きながら聞くには自分の耳に合わないため、数年間寝かしていたことが原因だったのか。 再購入による印象は、全く変わってしまいました。ウレタン製のアタッチメントは、やはり鼓膜との音響空間を作り上げるのに必須のようです。他の美点はそっくりそのまま。 今年(2007年)はボサノバの祖、アントニオ・カルロス・ジョビン生誕80周年とのことで、今、坂本龍一とモレレンバウム夫妻(ボーカル;パウラ、チェロ;ジャキス)によるトリビュート・アルバム、『Casa (カーザ;家)』 を聞き直しているところです (2001年、例のアメリカ同時多発テロの前、 7月にリリース)。 年代物のピアノ、女声ボーカル、チェロなどの音と、それぞれの音の余韻、余白、空気感などが一層心に染みます。 ・イヤーカナル型全盛の現在、希有なオープンエア・ダイナミック型の逸品だなと思います。 2007/11/ 4