今時、150万画素のデジカメで16万円ものプライスタグ。この事実が、E-100RSのただならぬ素性を物語っている。
このカメラのスペックを目にしたとき、私が最初に思い浮かべたのは、1989年に発売された、キヤノンの一眼レフ・EOS RTだ。
ベースとなったEOS630系に対して3万円高の11.5万円という本体プライスは、翌年デビューの高級機EOS10を凌ぎ、フラッグシップモデルのEOS-1に次ぐものだった。このあたり、E-100RSとE-10の関係を思わせるものがあって興味深い。
そして何より、EOS RTの特色は、固定ペリクルミラーを採用し、レリーズタイムラグを極限まで短縮した、プロ志向の「高速性能」にあった。レリーズタイムラグは公称0.008秒、秒間5コマの高速巻き上げ、動体予測AIサーボAF等々、名前の由来でもある「RT=Real Time」撮影のために磨き上げられたスペックが、このカメラの身上だったのである。
さて、E-100RSも、このEOS RTと同じく、デジタル技術を活かした「高速性」に的を絞ったモデルである。一見非力に見える150万画素CCDは、プログレッシブ方式により毎秒15コマの連写と1/10,000秒の高速シャッターを可能にする一方、こうしたスペックが自ずから導くモータースポーツなどの遠距離動体撮影に備えて手ぶれ補正機能付きの光学10倍ズームを備えている。
デジタル時代の高速シューターとしての機能の最たるものとしては、シャッターを「押す前から」(!)の記録を可能にするプリキャプチャ機能があげられる。人間の反射神経を超越して、およそどのような獲物も逃さない「猛禽類」的な凄みを感じさせるカメラに仕上がっているのだ。
EOS RTに比べれば、特にAF(もしくはEVFを介して使うことになるMF)の面で弱さを感じるけれども、速さに賭ける作り手の意気込みは十二分に伝わってくる、そんなカメラがE-100RSだと思う。
色違いの双子にも見える同社コンシュマーシリーズのC-2100UZとは、こうした設計思想の点からも似て非なるものであることが明らかで、こうした面に魅力を感じるか否かで、このカメラの評価は全く分かれることになるだろう。
……しかしながら、かくいう私はというと、この荒鷲の野生を眠らせたままなのだ。
単にそのテクニカルスペックに惚れた……というのが一番正解に近いのだけれど、その鋭い爪は、私のような凡人の日常にも、実はエキサイティングな楽しみを与えてくれるものらしい。
高速連写性能をベースにしたオートブラケティング機能は、全くストレスなく、瞬時にしてひとつの景色から千変の表情を描き出してくれるし、手ぶれに無縁な高倍率ズームは、臆病な被写体と臆病な撮影者の間に、安息の距離を置くことを許してくれる。
E-100RS自身は不満かも知れないが、このカメラには、そうした楽しみ方もあるのだ。
150万画素のデータは、A4サイズプリントには力不足だが、息も切らさず切り取った瞬間のスナップをLサイズで壁に敷き詰めるには十分なもの。そして大きな画素サイズは、光の表情も余韻と共に写し取る。
商業的な成功を望むのは難しいモデルだと思うが、爪を隠し持っていたいアナタには、悪くない選択かも知れない。
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