最終更新時刻:2009年7月10日(金) 21時57分

キヤノン
EOS 5D

EOS5D

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【主なスペック】
重量:
810g(本体のみ)
外形寸法 (W×H×D):
152mm × 113mm × 75mm
撮影可能枚数:
約60枚(キャノン純正512MBCFカード使用時)
記録メディア:
CF, MicroDrive
光学ズーム:
画素数:
約1280万画素
【発売日】
2005年 9月
【メーカーサイト】
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エディターズレビュー
35mmサイズカメラの正統な後継者 キヤノンEOS-5D

 ここ数年でデジタル一眼レフカメラはその画質の向上と低価格化によって、急速にシェアを伸ばして来ている。いまや初めて手にする一眼レフカメラがデジカメであることも珍しいことではないだろう。だが銀塩フィルムを使用する一眼レフカメラと大きく異なる点は、その多くの一眼デジカメに搭載された記録画素がAPS-Cなどの、35mmフィルムよりも小さな面積の記録素子であるということだ。したがって35mmフィルムの面積では写す事ができていた画像が、中心部を切り取る形でしか記録できないのだ。これがいわゆる「レンズ焦点距離の1.5倍(もしくは1.6倍、2倍)問題」である。

礒村浩一   2006/06/07 20:39

「APS-Cサイズの呪縛から解き放たれよ!」

 

 では撮影時のレンズ焦点距離が実焦点距離よりも(あたかも)長くなってしまうとどのような問題が起こるのであろうか。まず単純に考えると35mmフィルムでは右から左まで収まっていた風景などの被写体が同じレンズでは入らなくなってしまう。ではどのようにすれば同じカメラ位置で被写体全体を収める事ができるのか、そう、必然とより焦点距離の短い広角レンズを使うことになる。つまり今まで28mmレンズで収まっていたものをAPS-Cサイズのデジカメで収めようとすると約17mmという超広角レンズが必要となる。多くのAPS-Cデジタル一眼レフカメラにセット販売されているズームレンズが広角側17mm付近より設定されているのもこの理由からと思われる。だがここで気をつけたいのは、超広角レンズ特有のパースペクティブ(遠近感)である。広角レンズには焦点距離が短くなれば短くなる程にその遠近感が誇張され、近くの物はより大きく遠くにある物はより小さく写るという性質を持っているのだ。それにより被写体の形も誇張されたものとなり歪んで写ってしまうのである。

 

 では望遠側ではどうだろうか。たとえばポートレート撮影に向くレンズとされている80mmレンズだが、その理由は程よい背景のボケ具合が被写体を浮き上がらせて強調してくれるところにある。だがAPS-Cサイズで80mmレンズ相当の画角を得るためには、実際には50mmレンズを使用することとなる。レンズの被写界深度特性として焦点距離が広角側に短くなる程、同じ絞り値での撮影では背景にピントが合うという特性がある。つまりおなじ画角を撮影していたとしても、80mmレンズよりも50mmレンズでの撮影のほうが背景がボケずにハッキリ見えてしまうということになる。

 

 このように被写体を同じ大きさに撮影したとしても、レンズの焦点距離の違いによりその画像表現に大きく違いが出て来てしまうことになるのだ。では、これらの問題を解決するにはどうすればよいのか。答えは簡単、35mmサイズの撮像素子を持つデジカメで撮影すればよいのである。

APS-CサイズのEOS 30Dで撮影
フルサイズのEOS 5Dで撮影
 

 同じカメラ位置でおなじ24mmレンズにて撮影。単純にこれだけ写る範囲に差が出てくる。

 

 「レンズ焦点距離の1.5倍(もしくは1.6倍、2倍)問題」を解決するには35mmサイズの撮像素子を持つデジカメで撮影すればよいと簡単に書いた。だが、それは実際には決して簡単な解決方法ではなかったのである。なぜならばさらに大きな障害となる「経済問題」が我々の前に立ちはだかっていたからだ。デジカメ一眼の世界で、35mmフルサイズの機種はと言うと「キヤノンEOS 1Dsマーク2」しか、事実上選択肢がなかったからだ。このプロ機にしてキヤノンの最高峰に位置するデジカメはその価格においても実勢価格約90万円という最高峰を誇っている。この価格ではたとえプロであったとしてもおいそれと手出しはできない。しかも数年後にはより高性能なデジカメが出てくることが目に見えている訳だし。

 そんな現実と理想の狭間に新星のごとく現れたデジカメ。それが「EOS 5D」である。

       

「カメラであることを思い出したデジカメ」

 

 この「EOS 5D」は約1280万画素35mmフルサイズCMOSセンサーを持つ。当然だが35mmフィルムでの撮影と同じようにレンズが本来持つ画角をフルに活かすことができる。つまり28mmレンズは28mmレンズとして使うことができるのだ。しかも実勢価格40万円弱である。もちろん安いと言える金額ではないが、「EOS 1Dsマーク2」に比べるとの半分以下の価格で35mmフルサイズを手にする事ができるわけである。これにより画角とパースペクティブの関係が正常になり、旧来の撮影感覚を取り戻せることを考えると、ギリギリ自分を納得させられる金額の範囲と言えるのではないだろうか。

 

 すこしここで冷静になろう。たしかに「EOS 5D」は「EOS 1Dsマーク2」に比べると格段に現実的な価格であるが、それでも約40万円のカメラである。決して日々の小遣いで買えてしまうような金額ではない。でははたして「カメラ」としてそれだけの価値をこの「EOS 5D」は持ち合わせているのであろうか。じっくりと検証してみよう。

 

 まずは外観である。「EOS 5D」のシルエットは「EOS 30D」などのAPS-C中級機とは異なる。そのペンタプリズム部のシルエットは「EOS 1」系統のそれを彷彿とさせる。だがカメラ全体としては「EOS 1D」系統ボディとは大きく異なる特徴がある。それはバッテリーグリップが別売りのドッキング型であることだ。純粋なプロ機として位置づけられる「EOS 1D」系統のバッテリーグリップはボディと一体化しており取り外すことは不可能である。たしかに「EOS 1D」系を撮影に使う場合は速い秒間撮影コマ数や長時間駆動などの高い能力を要求することが多い。縦位置レリーズも必須であろう。しかしあのボディサイズと重量は決して日常的にぶら下げて持ち歩く物ではない。すくなくとも私は嫌だ。だがこの「EOS 5D」では必要に応じてバッテリーグリップを取り外しできる。縦位置レリーズや長時間駆動を望む場合はドッキングさせ、普段は取り外して高品質なスナップカメラとして使い分けることができるのだ。このような点から見るとむしろフィルムカメラの「EOS 1V」からのデザイン思想を受け継いでいるようにも思える。またフォーカシングスクリーンを交換できるという点も高く評価できる。オプションの方眼マットを使用する事ができるからだ。

左から「EOS 1Dsマーク2」「EOS 5D」「EOS 30D」。
2.5インチ液晶画面を搭載したうえで各スイッチ、ボタン、ダイヤル等をうまく配置している。30Dなどからの機種変換でも違和感なく操作できるようになっている。
 

 このように外観デザインからは「EOS 1」系統のカメラと言える「EOS 5D」だが、その操作系統は「EOS 30D」などの二桁EOSデジタルの操作系を採用している。この操作系は「EOS D30」からのキヤノンデジタルの正当派とも言えるだろう。また撮影モードセレクトもダイヤルを回転させるアナログ的なものだ。これらの操作性は2ボタン押し操作が基本であるプロユースの「EOS 1」系統のカメラとは異なる点だ。2ボタン押し操作での操作はうっかり操作ミスを避けるという意味では効果的ではあるが、この「EOS 5D」などに採用されている「くるくる、ピ。」の操作の方がより直感的で馴染みやすいものだ。

回転式のモードセレクトダイヤル。ロックはないが適度なクリックがあるので不用意に回転してしまうことはない。Cモードを選択する事で事前に設定しておいたカメラ設定にて撮影できる。
「EOS 1D」系との大きな違いがこのメニュー画面の操作方法だ。
 

 「EOS 1Dsマーク2」と「EOS 5D」との解像度の違いはどう画像に現れるのであろうか。同じ被写体を同条件で撮影比較してみた。画像はRAWで撮影したものを「DegitalPhotoProfessional2.1」にてJPEG現像、その際にピクチャースタイルをノーマルに設定し現像パラメータも1Dsマーク2、5D共に同じ値に揃えた。

「EOS 1Dsマーク2」にて撮影 4992x3328ピクセル
「EOS 5D」にて撮影 4368x2912ピクセル

 ピクセル数の違いによる被写体のサイズの違いはあるが、解像感に至ってはほとんど同じレベルだといえるだろう。むしろ若干ではあるが「EOS 5D」の画像の方がメリハリがあるようにも見える。

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