先日、自分が利用しているサイトのパスワードを変更しました。いくつかは不正アクセスの疑いによるものであり、また、攻撃の影響を受けたサイトからのパスワード変更のお勧めによるものでした。ここでどのように変更したかは詳しく述べませんが、いずれにせよ、指が新しいパスワードを覚えるまでには、約3日の時間を必要としました。
パスワード変更後、指や手が古いパスワードを覚えているため、そちらを入力してしまった経験は皆さんにもあると思います。皆さんの多くは、私と同様にマスター パスワードを設定したパスワード記憶機能(これも不正アクセスのターゲットになっています リンク )を使っていると思いますが、私の場合は、非常に重要なパスワードは記憶するようにしています。
2日ほど古いパスワードを入力しては修正することを繰り返す中で、習慣と体の記憶について考えるようになりました。日々繰り返す習慣を身に付ける、あるいは記憶から取り除くには30日(この研究では66日 リンク )かかるといわれています。エクササイズを習慣にしたいと思えば、30日間にわたり、毎日エクササイズを繰り返せば、何らかの不測の事態が生じない限り、その後も続けられる可能性が高まるということです。
また、体の記憶も存在します。自転車に乗る、署名する、ボールをキャッチするなどの何度も繰り返す体を使った行動が、体の記憶に該当します。長い期間をかけたトレーニングにより、どのように行動するかは体が覚えていてくれます。「ボールがもう少し近くにきたら、両手を組み合わせて空中で受け取ろう」などと考えなくても自然に体が動くようになります。良くない習慣が付かないようにするために、ルーティンの変更や更新を試みるのは、体がすでにその行動に慣れているため、さらに次のレベルを目指すには何らかの異なったアプローチが求められるからです。
自分以外にも誰か同じことを考えている人がいないか検索してみたところ、私の考え方はパスワードを記憶するための効果的なテクニックであることが分かりました。音楽家は音階のパターン、コード、リフなどを繰り返し練習し、それによって指にパターンを「覚えさせ」ます。パスワードに関しても同じです。一定のリズムを作り出すため、左手と右手を交互に使うパスワードを選びます。何度か繰り返すうちに手がキーボード上のリズムを覚えるため、パスワードを入力するときのランダムな数字、文字、あるいはシフトキーなどを記憶する必要はなくなります。頭ではなく指のみが記憶するという理想的な状態です。
人によっては、このテクニックをうまく使えない場合があるかもしれませんが、セキュリティを維持するための興味深い方法であることは確かです。「もし私の指を傷つけたら、コンピュータの内容は永遠に失われるぞ」という自負心も芽生えるかもしれません。
御社のプレスリリース・イベント情報を登録するには、ZDNet Japan企業情報センターサービスへのお申し込みをいただく必要がございます。詳しくは以下のページをご覧ください。