不況は携帯電話法人市場に直撃 2009年の企業のモバイルに対する投資は19項目中7項目から3項目に縮小

日経BPコンサルティング調べ
――「携帯電話“法人利用”実態調査2009」より――

 日経BPコンサルティング(東京都港区、樫村弘幸社長 リンク)はこのほど、「携帯電話“法人利用”実態調査2009」の結果をまとめた。今回の調査結果は、100年に1度の大不況といわれる現在の社会を映し出すものとなった。企業の法人契約端末の配布が従業員の3.7割と前年と変わらず、またモバイル・ソリューションへの投資の縮小傾向など、様々な面にその不況の影響が見られた。今年極端に冷え込んだ携帯電話販売市場において、法人市場は、来年更に端末に対する投資が厳しい方向となる結果となった。

通信事業者に対する満足度、イメージでは、NTTドコモの評価が高く、半分以上の項目で1位となった。また、ソフトバンクの全体的な満足度、イメージとも上昇。一方、KDDIの全体的なスコア低下が見られ、今年の携帯電話市場の傾向が、法人市場においてもそのまま浮き彫りとなっている。その他、例年行っているSIer/NIer企業の想起ランキング、利用SIer/NIerの評価、企業の利用意向アプリケーション・ソリューションなど、様々な角度からの法人利用実態を明らかにした。


企業のモバイルへの投資は縮小 法人における端末販売市場は更に厳しい状況へ
本調査の結果から、企業のモバイルへの投資が拡大方向であり、2009年においても2008年よりも更に投資拡大を検討している項目は、「モバイル・セキュリティ」と「無線LAN」、「無線IP電話」の3項目のみである(図1ブルーゾーン)。前回調査時は、7項目が該当していた。不況の煽りか、この3項目以外は全て2008年よりも投資は縮小する傾向にある。
 特に注視したい点が、PHSへの投資注力度である。PHS法人契約におけるデータ端末、音声端末への投資は、いずれもマイナス方向であり、ウィルコムにとっては厳しい数値となっている(図1グレーゾーン)。特にデータ端末は昨年プラスであったが、マイナス(解約傾向)へと変わってきた。ウィルコムにとって次世代PHSで巻き返しが図れるかが大きな課題となる。端末に関しては、携帯電話についても、2008年より投資が抑えられる傾向となっている(図1グリーンゾーン)。端末の高価格化に加え、不況が重なり、企業にとって端末購入、契約に対し、2009年は更に抑制せざるおえない方向になるといえる。


通信事業者満足度では、エリア、法人営業対応等、項目の半分以上でNTTドコモが1位
 本調査で行った企業の主契約通信事業者に対する満足度は、音声端末の総合満足度でNTTドコモが1位、データ端末の総合満足度でKDDIが1位となった。NTTドコモは、音声、データ端末いずれの契約においても、「エリア」、「法人営業の対応」、「アフターサービス」など6項目で満足度1位となった。音声端末の料金面ではソフトバンク、ウィルコムの満足度が高く、データ端末では、イー・モバイルのデータ通信速度、料金面での満足が高かった。データカード型端末が好調のイー・モバイルは今後注目である。


通信事業者法人モバイルソリューションイメージでは、ソフトバンクが「提案力」で初の1位 一方、KDDIが全体的にスコアダウン
企業の各通信事業者(4社)のイメージについて今回も尋ねている。「総合力」、「提案力」、「技術力」、「人材」、「信頼性」、「将来性」の6つの項目においてスコア化した。NTTドコモは、この6つの項目の「提案力」以外の5項目で1位となった(図2)。NTTドコモが全体的に巻き返してきており、1人負けと言われた状況から変化が見られる。「提案力」では毎年1位であったKDDIが、3位となり、1位にソフトバンクがあがった。KDDIの全体的なスコアダウンが見られる。2007年にはMNPの1人勝ちで勢いのあったKDDIが、2008年では、勢いのかげりと同時に、企業のイメージにも、そのことが表れた結果となっている。ソフトバンクは全体的にイメージが上昇。KDDI、ソフトバンクについては、コンシューマー市場と同じ傾向が法人契約にも表れているといえる。


SIer/NIer主取引企業の評価で高いのは「富士通」 企業名想起に新たに「IIJ」、「オービック」が急浮上
SIer/NIer企業名想起上位3社は、例年と変わらず「NEC」、「NTTコミュニケーションズ」、「富士通」で、その中でも主要取引企業の評価で1番高いのは「富士通」であった。新たに4位「IIJ」、5位「オービック」がランキングした。

(藤澤一郎=日経BPコンサルティング シニアコンサルタント)


●調査報告書
2008年12月19日に、調査結果をまとめた「携帯電話“法人利用”実態調査2009」を発行した。通常版総ページ数は約900ページ。業種や売上規模、従業員数別の全集計結果を収録したCD-ROM付き。価格は31万5000円(税込)。また単純集計版、ローデータ版もあり。詳しくは、
リンク

このプレスリリースの付帯情報

図1、2

(画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。)

用語解説

●調査概要
 2005年に開始し今回で4回目を迎えた本調査は、2008年11月に、携帯電話/PHSの法人利用の実態と今後3年間の導入計画などを明らかにすることを目的として、国内の全上場企業3849社(調査時点)と非上場の優良企業を合わせた5000社の情報システム担当者等に対して郵送調査を実施。713社から回答を得た(回収率14.3%)。また、通信事業者4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、ウィルコム)を個別に訪問して法人戦略を取材し、各社の法人向けモバイル・ソリューションに対する姿勢を明らかにした。
このほか、モバイル・セントレックスの実態と導入計画、モバイル・データ通信の利用実態と導入計画、携帯電話の多様な機能と利用意向、モバイル分野に対する投資の注力度(現在と今後)なども昨年の調査と比較分析している。

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