教育現場におけるデスクトップLinux 導入の実証実験を開始 - 800 名規模でKNOPPIX によるIT 教育システムの有効性を検証 -

当社は、独立行政法人 情報処理推進機構(以下「IPA」という)が公募した「学校教育現場におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての実証実験」に、KNOPPIX」による IT 教育システムの提案を行い、このたび採択の通知を頂きました。これにより、IPA からの支援を受け、オープンソースデスクトップKNOPPIX によるIT 教育システムの大規模実証実験を開始し、オープンソースデスクトップが教育現場で実用に耐えられることを実証して参ります。

1. 採択プロジェクト名
「学校教育現場におけるオープンソースソフトウェア活用にむけての実証実験」

2. 実験期間
2004 年10 月4 日 ~ 2005 年6 月30 日

3. プロジェクトの目的
現在、各教育機関において情報教育の重要性が増す一方で、情報教育を担当する教師への負担や要求も日々増しています。また、オープンソースデスクトップを導入する場合、難解なインストール作業やその管理に要するコストが問題となり、これが普及の障害となっています。
本実験では、既存システムからオープンソースソフトウェアを使用したデスクトップ環境に置き換えるにあたって、KNOPPIX を利用すれば、専門知識を要することなく容易に移行可能であることを実証します。また、被験者として小学校から大学までの全国8校の教育機関からご協力を頂くことで、教育機関の種別や学問分野を問わず、KNOPPIX によるIT 教育システムが実用に耐えることを実証します。
なお、本プロジェクト終了後、実証実験を通して得られた知見は、教育機関での試行実験および実運用に役立てられるよう、インターネット上に成果報告として公開する予定です。

4. KNOPPIX によるIT 教育システムの概要
KNOPPIX によるIT 教育システムは、以下のような教育に普遍的に必要となる各機能から構成されています。
① デスクトップ環境
KNOPPIX を各教育機関のニーズに応じてカスタマイズし、利便性の高いデスクトップ環境を提供します。
② 授業アプリケーション
各教育機関に必要な授業用アプリケーションを提供します。主に無償のオープンソースソフトウェアを使用します。
③ 課題提出
ファイルの共有を実現するサーバを用意し、課題の提出をネットワーク上で実現します。
④ 印刷
既存教育システムと変わりなく印刷可能なプリンタシステムを提供します。
⑤ 作業中のデータ保存
KNOPPIX では、データ保存に外部ストレージデバイスが必要な為、USB メモリとネットワークストレージ(SHFS)を利用します。SHFS とは、KNOPPIX の起動時にネットワーク上の個人フォルダをホームディレクトリにマウントする仕組みで、どの端末からでも自分で施した環境設定でKNOPPIX が動作し、作成したファイルを保存することができます。
⑥ コミュニケーション
どの端末を利用してもメールの運用が可能となるWeb メールシステムを提供します。

5. 実験規模と実験協力校
8 校の実験校において、6 ヶ月間にわたる実証実験を行い、延べ781 名の被験者に実験に参加して頂きます。なお、2004 年10 月~2004 年12 月は、実験システムの準備期間となります。

実験協力校 被験者数(延べ人数) 実験期間
2005 年1 月~2005 年3 月
1.所沢市立荒幡小学校 28名
2.奈良県立奈良工業高校 74名
3.愛知県立東海商業高校 240 名
4.早稲田電子専門学校 54名

2005 年4 月~2005 年6 月
5.千里金蘭大学 45名
6.拓殖大学 220名
7.北海道工業大学 100 名
8.北海道東海大学 20名
※順不同

6. 実証実験の主な項目
実証実験では、以下のような項目について実験を行います。
① 既存教育システムの置き換えに関する実験
既存のPC 端末を活用する場合と、新規にKNOPPIX によるIT 教育システムを構築する場合の2通りの環境構築を行い、既存環境からの移行と新規導入について実証します。
② 「KNOPPIX によるIT 教育システム」の運用性・利便性に関する実験
「課題提出」「印刷」「作業中のデータ保存」「コミュニケーション」の機能と、ベースとなる「デスクトップ環境」および「授業アプリケーション」に関して、既存環境と同等の運用性・利便性があることを実証します。(株)アルファシステムズにサポートデスクを置き、件数や解決に至る時間を計測します。
③ 「KNOPPIX によるIT 教育システム」の堅牢性に関する実験
授業中のシステムの停止状況を調査し、「KNOPPIX によるIT 教育システム」の堅牢性を実証します。また、セキュリティの見地から、アンチウィルスソフトウェアを導入し、KNOPPIX によるIT 教育システムが既存環境と同等のセキュリティ対策が可能であることを実証します。
④ 「KNOPPIX によるIT 教育システム」の保守性に関する実験
実用性や堅牢性を考慮した仕様によるカスタマイズを施したKNOPPIX を提供することで、メンテナンスにかかる教師の負担が軽減することを実証します。また、システム全体では、サポートデスクが受けたメールや電話による質問や障害報告から障害の種類や復旧に要した時間・コストを算出し、保守性が実用に耐えうることを実証します。
⑤ 「KNOPPIX によるIT 教育システム」の自宅学習への波及効果に関する実験
USB メモリとCD-ROM があれば、いつでもどこでも学校と同じ環境が構築できることから、学生が効率的に自宅学習を進められることを実証します。

7. 今後の展開
本実験で得られる知見の公開を通して、学校におけるオープンソースソフトウェアの普及促進に取り組んでまいります。また、すでに事業展開している「KNOPPIX カスタマイズサービス」のサービス向上を行い、市場に更なる利便性を提供することで、事業の拡大を目指してまいります。

以上

用語解説

KNOPPIX
KNOPPIX とは、ドイツのKlaus Knopper 氏が開発を進めているCD ブータブルLinux の一つである。産総研において日本語化のメンテナンスや仮想計算機対応を行なっている。KNOPPIX はハードディスクにインストールが不要のため、Windows がプレインストールされたパソコンにおいても簡単にLinux 環境を試すことができる。統合デスクトップ環境KDE、オフィスソフトウェアOpenOffice.org、Web ブラウザ Mozilla、メーラソフト群などをまとめ、1枚のCD のみで大抵のDOS/V パソコンで簡単にLinux 環境を実行できる。また、これらのソフトウェアはすべてフリーソフトウェアであり、規定されたライセンス条件を守れば、コピー、改変、再配布も自由に行なえる。改変に際してもDebian ディストリビューションベースにしているので、パッケージ管理が使え、容易に更新可能である。今までにもCD ブータブルLinux は何種類か提案されてきたが、KNOPPIX はハードウェアの自動認識・設定が優れており、DOS/V パソコンのハードの違いを認識して最適な設定を行なう。また、独自の圧縮手法を用いて700MCD-ROM に1.8G 程度のコンテンツを収録し、且つ、使いやすいデスクトップ環境にまとめた点が評価を得ている。
(参考: リンク )

KNOPPIX カスタマイズサービス
平成16 年3 月15 日から開始した当社サービスのことで、KNOPPIX を教育機関向けにカスタマイズする法人向けサービスである。KNOPPIX にIT 教育の現場で必要とされるアプリケーションとオペレーティングシステムの統合環境をカスタマイズし、教育機関ごとの千差万別なニーズに応えることができる。フリーソフトウェアの追加のみならず、有償のアプリケーションの追加やデザイン変更、機能追加などのサービスメニューがあり、カスタマイズからシステム構築まで含めたトータルソリューションの提案まで行っている。
(参考: リンク )

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