Microsoft常任会長 Bill Gates氏が6月27日に退任しました。すでに2000年1月にはCEOをSteven Ballmer氏に譲っており、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団での慈善活動に重心を移していましたが、今後はフルタイムの業務から完全に引退するそうです。
Microsoftの設立、Windowsの開発などは、Gates氏の功績としてあまりに有名ですが、同氏がIT業界に与えた影響の本質とは何でしょうか。パネリストのみなさんのご意見を聞かせてください。
もはや生きる伝説となってしまったビル・ゲイツですが、彼のこれまでの功績には「ありがとう」というお礼の言葉を贈りたい。
私は6歳の頃からコーディングをはじめ、コンピュータオタク歴25年を超えていますが、ビル・ゲイツがユーザの裾野を広げてくれなければ、今私がやっているような職業がこの世に存在しなかったかも知れませんし、よもやいまだにタダの物好き扱いだったかもしれません。
彼をヘンリー・フォードに見立てる記事が出ていますが、これは言い得て妙な見立てです。
元来より、ものづくりの会社というものは、アメリカならフォードやエジソン、日本なら本田宗一郎や井深大のような「ビジネス」よりも「発明」それ自体に夢と愛情をそそぐ技術者がはぐくんできました。ビル・ゲイツは、間違いなくその伝統のIT業界における正当なる継承者です。(ここで発明とはパクりも含め切磋琢磨するという意味ですので念のため)
彼らに共通する特質は、「世の中を良くする」ために「万人向けに普及する技術を作り出す」と発想したところです。この点、松下幸之助の水道哲学にも通ずるものがあります。
セールスマン出身でIBM創業者のトーマス・ワトソンが「コンピュータには世界で計5台分の市場しかないだろう」と述べたと言われるのと好対照です。それに怒ったのはスティーブ・ジョブズでしたが、そのジョブズの理念を実現したのはゲイツでした。
今後マイクロソフトは体育会系のセールスマンが引っ張っていくことになりますが、自社製品をさかさまにもって発表会にのぞんだ某社トップの例を持ち出すまでもなく、その後がどうなるかは見えている気がしませんか。少し残念ですが、歴史とはそういうもので、明らかにダメとわかっていながら繰り返される過ちの反復なのかも知れません。
振り返ってビル・ゲイツは、「ビジネスマンがリードする」のではなく、「実際にものをつくる技術者がリードする」のでなければ、ものづくりの会社を大きく育てることはできないという、ごく当たり前のことを再認識させてくれたという点で、沈滞ムードの日本企業に大きな道しるべを示してくれているように思います。
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