最終更新時刻:2009年7月11日(土) 10時00分

生音に肉薄!ブレーク寸前“スーパー・ハイ・マテリアルCD” 日本ビクターとユニバーサルミュージックが共同開発

FujiSankei Business i.

2008/02/04 11:07  

 「生の音に限りなく近い」−。ユニバーサルミュージックと日本ビクターが共同開発したSHM−CD(スーパー・ハイ・マテリアル・CD)が音楽ファンの間で話題となっている。マスター音源に限りなく近づいた素晴らしい音質は、普通のCDを遙(はる)かにしのぐ。クラシックやジャズに続き、1月23日にはロックやポップスの名盤50タイトルが発売されたが、限定生産とあって早くも売り切れになった作品もあるという。(岡田敏一)

 ≪透明度高い素材≫

 CDは、CDプレーヤーが発射するレーザー光線(レコード針に相当)がCDの読み取り面(信号記録面)に当たり、その反射光(音の信号)を再生して音楽にする仕組みだが、SHM−CDは、通常のCDとは異なる素材を使っている。読み取り面の素材に、液晶パネルなどにも使われる透明度が大幅に高いポリカーボネート樹脂を使用した。

 見た目は変わらず、従来のCDプレーヤーで再生できるが、透明度が上がって光の損失が少なくなったことで、より正確に音の信号が伝わり、リアルな音の再現が可能になった。

 実際に聞き比べてみた。米ロック・ユニット、スティーリー・ダンの「彩(エイジャ)」(1977年)。この作品に関して記者は、録音現場で働く専門家のための製品で知られる米モービル・フィデリティ・サウンド・ラボ(MFSL)社の24KT(カラット)のゴールドディスクCDも持っている。

 同社は各レコード会社から借り受けたマスター音源のサウンドを忠実に再現するため、読み取り面に金メッキを採用。高い反射率で高音質を実現した。ロックのさまざまな名盤が、この仕様でCD化され、最高の音質を誇っている。

 ところが聞き比べて驚いた。お世辞ではなく、SHM−CDはMFSLに肉薄する音質だった。3曲目「ディーコン・ブルース」の音の粒立ちや、5曲目の「安らぎの家」のイントロのピアノ音の残響感など、一つ一つの楽器のサウンドがより滑(なめ)らかで緻密(ちみつ)でクリアに。

 ついでにもう1作。ルー・リードがリーダーを務めたニューヨーク出身の伝説的なロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー作「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」(67年)。こちらも冒頭の「日曜の朝」のイントロの打楽器(チェレスタ)のリアルな金属音にびっくり。

 ≪売り切れ作品も≫

 このSHM−CD、インターネットの音楽系の掲示板などでも絶賛の声が多く寄せられている。

 ユニバーサルミュージックも「予想以上の反響と売り上げ」と驚く。スティーリー・ダンの「彩」と、英のエリック・クラプトンが所属したデレク・アンド・ドミノスの「いとしのレイラ」(70年)の2タイトルは、初回販売の3000セットが、1週間余りで品切れになった。

 こうした人気について、同社の洋楽担当、原田実さんは「米国と違って、日本では紙ジャケット形式といったパッケージや音質にこだわる音楽ファンがまだ数多く存在する」と分析。「ネットで好きな楽曲を購入する『オンラインミュージック』も急激に人気を高めているが、CDで良い音をじっくり聞き込みたいファンも確実に増える」と予想する。

 同社では、この人気を受け、紙ジャケット形式による名盤の再発売を計画。さらに、巨匠マーティン・スコセッシ監督が手がけるローリング・ストーンズのドキュメンタリー映画のサウンドトラック(ライブ盤、3月末発売予定)をはじめ、有名バンドや話題のミュージシャンの新作をSHM−CDで販売することを決めた。

 価格は1枚組2800円、2枚組5000円(紙ジャケ形式は4200円の予定)と、通常のCDに比べると高めだが、それ以上の価値は十分ある。とくに音楽ファンは、買って損したということにはならないだろう。

CNET_ID

メンバー限定サービスをご利用いただく場合、このページの上部からログイン、またはCNET_ID登録(無料)をしてください。