「Macworldの目玉は無線通信技術」--このうわさは本当か?

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:吉武稔夫、矢倉美登里、緒方亮、長谷睦2008年01月15日 21時57分

 毎年Appleが開催するMacworld Conference & Expoの会場となるサンフランシスコのモスコーンセンターに、今年はある横断幕が掲げられた。これをめぐって、Appleの最高経営責任者(CEO)を務めるSteve Jobs氏が米国時間1月15日に予定されている基調講演で無線技術に関する発表を行うのではないかといううわさが、IT分野の関係者の間で広がっている。

 横断幕に「空中に何かがある(There's something in the air)」と書かれていることから、Appleが無線技術に関する大きな発表を準備しているという憶測が広がった。最も根強いうわさは、AppleがノートPCにWiMAXを搭載するというものだ。

 WiMAXは、Wi-Fiよりも伝送距離が長く、3G無線ネットワークよりも高速でダウンロードが可能な無線ブロードバンド技術で、この特性から、次世代技術として注目を集めている。Intelは1年半ほど前からWiMAXを積極的に推進してきた。同社は今後数年以内に、オプションでWiMAXを搭載する次世代チップセットを発売する意向を示している。Acer、ASUS、Lenovo、松下電器産業、東芝のノートPCメーカー5社は、自社製品に新しいWiMAX対応チップを採用することに同意している。

 このことから、AppleがWiMAX対応を発表するのは理にかなっていると指摘する声がある。

 InStatのシニアアナリスト、Gemma Tedesco氏は「2008年、WiMAXはノートPCの人気機能になる可能性が高い。すべての大手メーカーは2008年内にWiMAXのサポートを発表するだろう。だとすると、今発表を行うことはAppleにとって価値があるかもしれない」と指摘する。

 Tedesco氏がそう考える理由は理解できるが、私はそうはならない気がしている。理由はいたって単純だ。第一に、現時点で米国では大規模なWiMAXネットワークが展開されていない。現在、Sprint Nextelがネットワークを構築中だが、まだシカゴ、ボルチモア、ワシントンDCの3カ所で試験サービスが行われている段階だ。Sprint Nextelは2008年にサービスエリアを拡大する計画だが、これは変更される可能性がある。同社は2007年10月にCEOを解任した。同年12月に新しいCEOを雇い入れたが、今後については事業の合理化がささやかれており、WiMAXの展開も縮小される恐れがある。

 私には、軌道に乗らない恐れがある技術の推進にAppleがエネルギーを注ぎこむことは、まずないように思われる。専門家の中にも私と同じ意見の人たちがいる。

 Forrester Researchのアナリスト、Charles Golvin氏は次のように語っている。「WiMAXに関する発表の可能性が高いとは思わない。『iPhone』と『Apple TV』という例外を除けば、Jobs氏が発表するのは当日から出荷が可能な製品ばかりだ。WiMAXは、Sprint Nextelのネットワークができあがるまで利用できない」

 無線技術に関する別の発表があるとすると、どんなものが考えられるだろうか。まず、AppleのノートPCが超広帯域無線(UWB)または携帯電話の3Gネットワークに対応するのではないかという見方がある。ひょっとすると、Wi-Fiに対応した「iPod」の新モデルが発表されるかもしれない。あるいは、3Gに対応した新しいiPhoneの発表があるかもしれない。

 どれもありそうな気がする。しかし、1つ1つをもっと細かく検討すると、どれも可能性は低いことがわかってくるはずだ。

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