一方HD DVDには、Memory-Tech、NEC、三洋電機、東芝が支持を表明している。NECの関係者によると、HD DVDは保護層が不要で、現行のDVDと同程度の耐久性があるという。
それでも、TDKの保護コーティングによってBlu-rayが一気に普及するだろう、とアナリストや業界幹部らは語っている。
調査会社iSuppliのアナリスト、Shyam Nagraniは、「これ(TDKのコーティング技術)がマーケティングの大きなチャンスになり、Blu-rayがHD DVDと差別化できるようになる」と述べる。
Pioneer ElectronicsのAndy Parsons(先端技術製品開発担当シニアバイスプレジデント)は、カートリッジが不要になることで、記憶容量で勝るBlu-rayの魅力が各段に増すだろう、と語った。
「カートリッジを使わなければコストが大幅に下がり、しかも過去の出来事が物語るように、消費者の立場からみてディスクの使い勝手が向上する」(Parsons)
適切な組み合わせ
Blu-rayの仕様を満たすため、TDKのコーティングは厚さを0.1 mm未満に抑えながら、乱暴な扱いに耐え、読み出しやすい透過性を実現する必要があった。
TDKのBruce Youmans(マーケティング担当バイスプレジデント)は、「保護要件を満たす合金を開発することもできたが、そうすると透過性がなくなり、読み出しが不可能になってしまう。そこで、これに適した成分をもつポリマーとその製造手法を考案し、これら3つの条件のバランスを取った」と語っている。
米国特許商標庁に9月に提出された申請書類によると、このプロセスは簡単にいうと2つの層を1枚のディスクにスピンコーティングするものだという。2つの層のうち、1つはディスクをキズから守る保護層で、もう1つは汚れや油に対する保護層となっている。
Youmansは、既存のDVD-Rディスクの保護層には第1世代のコーティング処理が施されており、同社はBlu-ray Discsに適合するよう技術改良を重ねてきたと言う。このポリマーはLCDやCRT、プラズマスクリーンといったほかの用途にも応用できるように思えるが、TDKは今のところDVD市場に的を絞っているとYoumansは語った。
レンタルDVDサービスは、TDKにとって大きな潜在市場の1つだ。DVD Station(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)の法人開発担当バイスプレジデントBill Fischerによると、DVDにはあまりにも頻繁に傷が付き、平均で約12〜13回しか保たないという。同社はソニーのMetreonセンター内などの小売店舗にDVDのレンタル端末を設置する新興企業。
Netflixの幹部や多くの親にとっては、キズに強いDVDは天の恵みかもしれない。一方TDKでは、これをBlu-rayの普及時に向けた技術と位置づけている。
「DVD市場では、レンタルDVDにキズが付くなど日常茶飯事で、一段と高い耐久性を求める声が大きい。しかし、Blu-ray Discにはそれよりもっと大きな機会があるとわれわれは考えており・・・その市場が現れるのを待ちかまえている」(Youmans)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス