独T-Mobile、加入契約なしのiPhoneを販売へ--仮差止命令判決受け

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年11月22日 10時12分

UPDATE 通信事業者に縛られない「iPhone」のために、そこまで高いお金を消費者は支払う気になれるだろうか?

 T-Mobileは現地時間11月21日、ライバル事業者であるVodafoneの要請に応じて裁判所が発行した仮差止命令に従うことを決定した。これに伴い、T-Mobileはドイツにおいて、加入契約なしの端末を1478ドル相当で販売することにした。同社は今後も裁判所の決定に異議を申し立てる予定だが、電話を特定の事業者に限定することはドイツの法律に違反するようである。

 T-Mobileのウェブサイトによると、「価格プラン『Complete』を利用するT-Mobileの顧客だけに提供される機能が、まだ数多くある」という。しかし同社が唯一、T-Mobileネットワークでしか利用できない機能として挙げたのはビジュアルボイスメールだった。またT-Mobileは、競合他社よりも完全なEDGEネットワークを有していると述べているが、Vodafoneなど他の事業者に切り替えようとしている利用者は、自分の市や町の中でデータにアクセスできればそんなことはかまわないだろう。

 人々がロック解除されたiPhoneにどれだけの価値があるとみなすかは興味深い。Reutersによると、現在のiPhoneはドイツにおいて、T-Mobileの2年契約に加入しないといけないので、それを含めると2330ドルになるという。サービスプランが1740ドル、iPhone本体が590ドルである。T-Mobileは、同社ネットワークにロックされたiPhone契約も提供する予定であると述べ、この特別なiPhone価格プランは、T-Mobileが提供する他のデータ対応の携帯電話を同じように使用した場合よりも40%安いという。

 携帯電話のロック解除は、個人の自由の問題である。多くの人は好きな電話機を購入し、好きなサービスプロバイダを選択してそれを利用したいと思っている。新しいPCやMacを購入して24カ月間もComcastやAT&Tのブロードバンドネットワークにしばられることなどない。逆に、サービスプロバイダへのこだわりはなく、流行のiPhoneをなるべく安い価格で使用したいと思うユーザーもいるのかもしれない。

 おそらく1つ確かなことは、世界中の携帯電話再販業者の半数がドイツへの飛行機を予約しただろうということである。iPhoneのロック解除はこれまではそれほど困難な処理ではなかったが、ソフトウェアの変更が必要で、悪名高い「OS X 1.1.1」アップデートのように、Appleからのソフトウェアアップデートに対応しなければならなかった。全く新しい、工場から出荷されたままのロック解除状態のiPhoneは、現行の方法でjailbreakされロック解除されたものよりは高い価格がつけられるのかもしれない。

 それにしても再販を可能とするために1500ドル以上の価格をつけられるのだろうか。筆者には見当もつかないが、筆者自身は3GデータネットワークやGPS機能を持たない電話機を、特定事業者以外のネットワークで利用するためだけのためにそれだけの金額を支払うことなど決して考えられない。それだけ支払っても、電話を利用するためには少なくとも毎月50ドルをいずれかの事業者に支払わなければならないのである。誰かが50ドルぐらいの安いデータプランを提供してくれたとしても、T-Mobileの2年契約に支払う2330ドルと比較して、2年間で2678ドル支払うことには納得がいかない。

 これはもちろん、偶然ではないだろう。T-Mobileはロック解除されたiPhoneを提供しなくてはならないかもしれないが、同社がそれにいくら課金するべきかについては明らかに何の制限もない。またもしAppleが、AT&Tと交わしたものと同様の売上分配契約をT-Mobileの親会社であるDeutsche Telecomに要求するとしたら、両社はAppleが必ず利益を得られるように何らかの方法を見出さなければならない。

 AppleとOrange(また果物だ)は、フランス市場においても同国の通信に関する法律に従うためにロック解除されたiPhoneを提供する必要がある。 International Herald Tribuneによると、iPhoneは来週発売予定で、「プレミアム」価格で提供される予定であるという。これでプレミアムというのがいくらぐらいなのかがわかるかもしれないが、人々はそれだけの価格を喜んで支払うのだろうか?

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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