チームラボが考えると、ケータイはどうオモロくなる?

永井美智子(編集部)2007年08月01日 10時48分

 KDDIが新たな携帯電話の形を追求するために行っている「au design project」。2007年夏にデザイナーとして選ばれたのは、オモロ検索「sagool(サグール)」などの開発で知られるチームラボだ。

 同社が考える携帯電話のあり方、ユーザーインターフェースはどのようなものなのか――7月31日、東京都内のKDDIデザイニングスタジオにおいてチームラボが手がけたau design projectのコンセプトモデルが展示されるとともに、チームラボ代表取締役社長の猪子寿之氏とプロダクトデザイナーの坂井直樹氏によるトークショーが開かれた。

チームラボのコンセプトモデル チームラボが考えるコンセプトモデル。全面ディスプレイの折りたたみ式で、ユーザーの使い方次第で表示される街の風景が変わる

 チームラボが提案するモデルは、タッチパネルを採用した折りたたみ式の端末だ。端末を開くと上下の両方の面と背面上部の3面が全面ディスプレイになっており、通常操作キーがある下面には透明なボタンが置かれている。

 この端末の開発コンセプトの根底にあるのは、携帯電話の操作そのものをユーザーが楽しむようになって欲しいというものだ。「携帯電話を使うのは誰かと話したり、コミュニケーションをとったりするためであって、みんな『仕方なく』端末のボタンを押している。でもそうではなく、操作そのものが楽しくて、しかも合理的に使いやすいものが作れないかと考えた」(猪子氏)

 その結果生まれたのは、ユーザーの行動によってさまざまに変化し成長する仮想街をディスプレイに常駐させる仕組み「PLAY」だ。たとえば、ハートマークの入ったメールが恋人から届いたら、ディスプレイに表示される街が幸せそうになる。同じ相手からの電話に10回出ないと、「デナインジャー」というキャラクターが現れて街を破壊してしまう。フル充電時には街中に活気があふれ車や人が多く行きかうのに、電池が少なくなると街全体が沈んでしまう、といった具合だ。

チームラボ代表取締役社長の猪子寿之氏とプロダクトデザイナーの坂井直樹氏 猪子氏(上)との対談は「スリリング」と坂井氏(下)

 「コミュニケーションという本来の目的を忘れるようなものにしたい。『街を育てたいから○○さんにメール打たなきゃ』というようになったら面白い」(猪子氏)

 このほか、端末のボタンを押すリズムが、ディスプレイに映し出される水墨画の映像に反映される「Rhythm」も紹介された。ボタンを押した部分のディスプレイに花が咲いて、発話ボタンを押すとボタン部分から鯉が現れ上のディスプレイに昇るといった表現が披露された。

 タッチパネル式の端末の場合、ボタンの位置が任意で移動することが多いが、チームラボはあえてボタンの位置を固定している。これは、「ケータイのボタン配置はみんな身体的に覚えている。それを変えてしまうのはもったいない」(猪子氏)という考えに基づくものだ。ただし、ボタンの機能は利用シーンによって変わる。たとえば1、2、3という数字がア、イ、ウ、もしくはA、B、Cに変わるといった具合だ。

 猪子氏は今回の端末のデザインについて、「デザイン好きの人が喜ぶようなデザインではなくて、普通に(使っていて)テンションが上がるようなものを作りたい」と話す。「(携帯電話を操作するという)行為に対する概念そのものを変えたい。難しいものをエンターテインメントに変えたいと思っているし、純粋に(使っていて)嬉しくなるようなものを作りたい」(猪子氏)

 今回の端末はコンセプトモデルのため、商品化は未定だ。ただし、画面はFlashで作成しているといい、「タッチパネルを含めて、現在ある技術でできることを意識して作った」(猪子氏)とのこと。猪子氏自身は商品化に乗り気で、「KDDIの人にどうしたら商品化されるか聞いてみたがわからなかった。商品化してほしい人はぜひブログなどに書き込んで欲しい」と来場者に呼びかけていた。

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