省エネに優れたLEDに普及の兆し 照明各社が開発急ピッチ

FujiSankei Business i.2007年06月18日 11時02分

 ■明るさ、コスト問題解消

 エネルギー消費量が大幅に少ないとして、京都議定書の目標達成計画の中でも普及促進が謳われているLED(発光ダイオード)照明などの開発が活発化している。ネックとなっていた明るさや高コストなどの問題が徐々に解消し、従来の照明から置き換わる可能性が出てきたためだ。二酸化炭素(CO2)の排出削減という日本政府の公約も追い風となり、メーカーの売り込みも熱気を帯びている。

 岩崎電気は大阪府が府道に設置して実証実験するLED道路灯と、LED歩道灯を開発し、合計50灯を納入した。新開発の道路灯と歩道灯は、熱に弱いLEDの弱点を補うために、LEDの数を極力少なくするとともに、放熱板などで温度上昇を抑えるなどの工夫をしたのが特徴。従来方式の道路灯に比べると、約30%の省エネとCO2の排出削減が見込める。加えて長寿命の特性を生かし、メンテナンスコストも軽減できるという。

 松下電工はシステムキッチンの最高級シリーズ「オーメイド・エクシモ」の主照明に、LED照明ユニットを業界で初めて搭載し、今月から受注活動を始めた。

 これまでLEDは明るさが足りないため、キッチンの主照明には不向きとされてきたが、高出力と長寿命を両立させた独自開発のLED照明ユニット「エムフォース」を採用することで、キッチンでの利用に道を開いた。LED照明をキッチンに用いると、均一に広範囲を明るく照らすため作業性が向上し、食材本来の色も正しく表現できる利点がある。高出力といっても従来照明に比べると、電気使用量は大幅に少ない。

 東芝グループの東芝ライテック、東芝ホームライティングも7月1日から、発光効率などが自慢の住宅用LEDダウンライト「E−CORE(イー・コア)」を売り出す。一般用(施設用)の効率重視タイプ4機種、演色性重視タイプ4機種、断熱施工用(住宅用)として2機種の計10機種をラインアップし、用途に応じて選択できるようにした。

 一方、トランスデジタル(東京都港区)は、新規事業として、LED装飾看板の販売を開始した。省エネ性に優れ、長寿命のLEDは、広告媒体としても将来性が期待できるとの判断だ。このため同社では、イベントで使ったり、ビルの屋上などに設置する大型看板から、店舗向けなどを中心とする小型看板まで多様なタイプをそろえ、顧客の要望にこたえていく考えだ。

 LED照明推進協議会の試算によると、日本国内にある従来の電球式信号機をすべてLED化すると、CO2排出量を年間約32・7万トン抑制できるという。これはCO2を吸収する樹木(スギ)を約2300万本植林したのに相当する。地球温暖化対策にLED照明が有効に作用するのは間違いなく、さらにコスト低減が進めば普及に弾みがつくことになりそうだ。

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