改めて見直されるアップルのPC市場シェアと「iPod効果」 - (page 2)

文:Michael Kanellos and Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2006年11月29日 13時18分

Acer対Apple

 しかし、これと同じ時期に、多くの消費者向けPCメーカーが、ミュージックプレーヤーを販売せずして、PC市場におけるシェアを伸ばしている。

 この4年間の数字を見ると、一時は不調に悩まされた台湾のAcerが最も速いペースで成長している。同社はほとんどの四半期において、AppleやDellをはじめとするライバル企業を上回る成長ぶりを見せた。

 AcerのPC出荷台数は2005年に58.1%増加しており、Gartnerによれば現在では、世界シェア5.9%で、市場4番手の地位につけているという。そんな同社も2003年は、現在の半分に相当する2.9%の世界シェアしか獲得できず、ベンダーランキングでは上位5社に入らなかった。

 AcerはAppleよりも会社規模が大きいにも関わらず、Appleより速いペースで成長したことになる。実は数学的に考えると、これは達成が難しい。Acerの成功の秘密は、同社がミッドレンジ以上の製品を求める顧客向けに、(同じ機能性をもちながら)最も価格が安い、もしくは、(同じ価格帯でありながら)最も機能が多いノートPCを投入するよう努めていることにある。

 ここ5年の間に東芝、Gateway、ソニーも、Appleが現在享受しているものと同様の持続的な成長を経験している。

 Endpoint TechnologiesのプレジデントRoger Kay氏は、「(Appleの好調ぶりに)iPod効果を見い出すのは非常に難しい。2四半期前からはノートPCの販売が急激に伸びていて、部分的にはiPod効果もあるのだろうと思うが、デスクトップの方は低迷している」と述べている。

 Appleから直接コメントを得ることはできなかった。

 興味深いことに、Appleの世界市場シェアはSteve Jobs氏が最高経営責任者(CEO)に復帰する前より低いままだ。しかも、当時は売り上げが下降線をたどっていた。

 Kay氏はまた、AppleのノートPCシリーズに2年前から大幅な変更が加えられてきたことを指摘する。

 AppleはノートPC市場が拡大する時期にタイミングよく、システムへのIntelチップの搭載を決断し、ノートPCの製品ラインを刷新することができた。

 また、AppleのノートPCは以前より値ごろになっている。「理由はこのような本当に単純なことかもしれない」とKay氏は述べる。ただ、今後の成長を阻害する要因として懸念されるのは、Appleが主に個人を対象とした製品を投入している点だ。個人向けの市場は、PC市場全体の半分以下の規模しかない。互換性を懸念する法人は、Macを積極的には購入しない。米国の個人向けPC市場は、全世界におけるPCの総売上のうち約11%を占めるに過ぎない存在だ。

 さらにMac OS Xも、Macの売り上げを押し上げる要因となっている。何年もかけて開発された同OSは予定より遅れてリリースされ、2001年3月に登場した。iPodがデビューする2カ月前のことだった。

 しかし、iPod効果が見られない方が、Appleにとっては良いニュースになるかもしれない。iSuppliのアナリストらは、フラッシュメモリの売り上げデータから、MP3プレーヤーの売り上げが減速していることが読み取れると述べる。またMacファンにとっても、大好きなシステムがデジタル音楽プレーヤーの影響を受けることなく、その独自性で人々を魅了し続けてくれる方が嬉しいに違いない。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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