プロセッサの値引き戦争勃発か--アナリスト、AMD株を「売り」に格下げ

文:Dawn Kawamoto(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年03月14日 10時40分

 ある金融アナリストが米国時間13日、Intelがプロセッサの価格戦争を開始する準備を進めているとする同社サプライチェーン関係者の報告を引き合いに出し、Advanced Micro Devices(AMD)株を「買い」から「売り」に格下げした。

 アナリストのEric Ross氏が、調査レポート「ThinkEquity」で明らかにしたところによると、価格戦争をめぐる懸念から、Intelに加えてAMDについても、利益と売上高の両方の予想が引き下げられたという。

 IntelとAMDが価格戦争を繰り広げるのは珍しいことではないが、今回の動きの背景には、AMDがOpteronチップで力強い市場成長の波に乗る一方で、今月はじめに第1四半期の見通しを下方修正したIntelのほうは若干の市場シェア低下とチップの需要減少に苦しんでいる、といった事情がある。

 「市場シェアを取り戻す、あるいは少なくともシェア縮小を食い止めるために値下げするという話を、(Intelの)サプライチェーン関係者から聞いている」(Ross氏)

 その結果、同氏はAMDに対する自身の推奨度を「売り」に引き下げるとともに、利益および売上予想も下方修正した。Ross氏は、AMDの2006年会計年度の業績について、売上高を58億5000万ドルから54億7000万ドルへ、利益を1株あたり1ドル75セントから1ドル40セントへとそれぞれ引き下げた。

 「AMDを強く信頼しているわれわれにとっては悲惨な状況だ。彼らもようやく技術的に優位に立つことになったが、これで価格戦争による打撃を受ける可能性が高くなった。AMDは、利益を減らしてでも値下げで対抗するか、あるいは(市場)シェアを多少失うことを余儀なくされるだろう」(同氏)

 AMDの株価は、この日の前場で1株あたり2ドル17セント(約5.92%)安の34ドル46セントを付けた。

 Ross氏はIntelの業績予想も引き下げた。その結果、第1四半期の売上はこれまでの89億ドルから88億ドルに、2006年度通期の売上も381億ドルから368億ドルに変更された。また第1四半期の利益は1株あたり20セントから1株あたり19セントへ、2006年度通期の利益も1株あたり99セントから85セントへと引き下げられた。

 Ross氏は、価格戦争の影響を受けるのはローエンドのPCが中心で、サーバへの影響はないと指摘している。

 「これらの値下げ努力が、ローエンドにおけるAMDのシェア拡大を食い止めるとは思うが、サーバやハイエンドでのAMDのシェア拡大を食い止める、もしくは遅らせることはないと思う。ローエンドに関しては、一部の小さなディストリビューターやPCメーカー各社が、すでにAMDからIntelのパーツに切り替えつつあるとの話を聞いている」(Ross氏)

 同氏はさらに、小さなディストリビューターはAMDの3000シリーズに代えて、Intelの805モデル(Pentium D 266 MHz)を採用していると付け加えた。

 「サーバ用チップについては、Intelの価格はすでに同等の性能価格比を持つAMDのチップよりも高いため、同社がAMDから多くのシェアを奪う可能性は少ないとみている」(Ross氏)

 Ross氏は、チップセットメーカーやマザーボードメーカー、ディストリビューターなどの「見えない」分野を挙げながら、サプライチェーン上に存在するIntelチップの在庫量は、業界で考えられているよりも多い可能性があるとしている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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