ディスプレイへの採用が進むLED--バックライト技術の本命か

Richard Shim(CNET News.com)2005年03月25日 15時07分

 何年も前から、信号機や目覚まし時計で使われてきた発光ダイオードが、ついに高価な薄型平面テレビなど、ハイエンドの家電製品向けとしても十分な明るさを持つようになった。これを受け、消費者、家電メーカー、そしてLEDメーカーは、膨大なメリットを享受すべく手ぐすねを引いて待ちかまえている。

 たとえば、Hewlett-Packard(HP)の1部門だったLumiledsは、今では次世代照明部品の大手サプライヤーになりつつある。同社のLEDは、ソニーの「Qualia 005」という46インチ液晶テレビに採用されている。液晶パネルの最大手であるSamsung Electronicsも、今後投入するディスプレイにLEDを採用する。そして今年夏には、LEDベースで、手のひらに乗る大きさのポータブルプロジェクタが三菱電機から発売されることになっている。

 IDCの調査担当バイスプレジデントBob O'Donnellは、「LED採用による機能の改善は本物で、確実に価格に転嫁できる。これは低価格化が急速に進む市場では特に有益な点だ」と語る。同氏はさらに、LEDを採用したテレビは価格が高く、サイズも大きいが、それでも消費者が無視し難い画質を実現すると付け加えた。

 LEDは、電流が流れると発光するチップで、現行の照明装置に比べて最大で10年も製品寿命が長く、消費電力も低い。さらに水銀も含まないため環境にも優しい。

 37億ドルの規模を持つLED業界は、携帯機器、自動車、信号機など、複数の市場に分かれている。このうち、主に携帯電話機が中心となる携帯機器が全体の58%を占めている。しかし、携帯電話機分野が飽和したことで、Lumiledsや競合するCree、日亜化学、OsramなどのLEDメーカー各社は、現在家電分野に注目しつつある。

 LEDは、家庭で一般的に使われている電球にすぐに取って代われるほど、安くも潤沢でもないが、利幅の急速な減少に苦しむ家電メーカーを強力に後押しする可能性がある。

 アジア各国の無名メーカーが米国市場に参入し、低価格製品で市場シェアを奪って行くなか、ソニーやRoyal Philips Electronicsなどの老舗ブランドはこうしたライバルからの圧力を感じている。大手メーカーが利幅の縮小に対抗するためには、競合各社が真似できない製品を作り、少なくともしばらくの間はその分を価格に上乗せする、というやり方を取らなくてはならない。

 ソニーの液晶テレビQualia 005は、Lumileds製のチップを400個以上も使用しており、価格はおよそ1万5000ドルだが、この価格なら十分な利幅を確保できる。LEDはバックライトの部分に使われているだけであり、そのせいで目の飛び出るような値段になっているわけではない--Qualiaはソニーの最高級製品ラインの一部であり、先進技術を搭載するため、かなりのプレミアムが価格に上乗せされている。それでも、バックライトシステムはQualia 005で使われている部品のなかでも最も高価なものである。

 「LEDを使った製品には馬鹿げたほど高い値段が付けられている。そのため、しばらくはLEDの価格も高いままだろう。しかし、将来LEDが液晶テレビのバックライトの標準になることは絶対に間違いない」(O'Donnell)

 液晶テレビは、薄型テレビ市場でプラズマテレビやリアプロジェクションテレビと激しい戦いを繰り広げているが、そのなかでLEDが液晶テレビの有力な武器になる可能背がある。ただし、LEDの採用が考えられる家電製品のなかでは液晶テレビは最も高価な部類に属しており、たとえばデジタルカメラのフラッシュのような、もっとありふれた製品のなかに大量に使われるチャンスが存在している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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