インテル、ノートPCとデスクトップのチップアーキテクチャを統合へ

Michael Kanellos (CNET News.com)2004年03月30日 09時56分

 IntelのノートPCおよびデスクトップ用チップシリーズのベースとなっているアーキテクチャが、2007年までに再統合される。そして統合後のチップは、イスラエル風の名前になるようだ。

 情報筋の話によると、Intelは2007年までに、同社のノートPC及びデスクトップ用チップに、「Merom」(コード名)という共通のプロセッサコアを採用するという。これはデスクトップ用チップのエネルギー効率を高めることを目的としたIntelの方針変更で、また同社がクロックスピードの高速化による性能向上というこれまでのやり方に別れを告げようとしていることを示す点で注目すべき動きといえる。

 Meromは、ノートPC用チップのPentium Mシリーズから派生したアーキテクチャとなる。Pentium MはデスクトップチップのPentium 4シリーズよりもクロックスピードは遅いが、消費電力が大幅に少ないという特徴がある。Pentium MとPentium 4のコアは、類似しているが明らかに異なるもので、それぞれ他方にはない特徴を備えている。

 Meromで両チップシリーズが統合されても、デスクトップ用チップの性能が落ちることはないが、ただしクロックスピードの向上のペースが鈍化するだろう。Meromのひとつ前のモデルとなる2006年リリース予定のJonahコアでは、一部のノートPC用チップがデスクトップで使われるようになっているかもしれない。Intelは新たにチップモデルナンバー制を導入して、クロックスピード重視を止めることにより、マーケティング上の厄介な問題をうまくかわせるようになるだろう。

 「Pentium Mは、Pentium 4よりも大幅にクロックスピードが落ちるものの、Pentium 4と競合している部分も非常に多い」とInsight 64のアナリスト、Nathan Brookwoodは述べ、「消費電力や発熱の問題が重要なのは、デスクトップでもノートPCの場合でもそれほど違いはない」と付け加えている。

 Meromはまた、イスラエルにあるIntelのデザインセンターが設計を手がけることになるようだ。Pentium Mシリーズはこのグループが開発し、同社幹部のMooly Edenが共同管理している。なお、同社の他の主要マイクロプロセッサは、オレゴンかサンタクララで設計されたものだ。

 イスラエルで開発されたチップは、すべてイスラエルに由来するコード名が付いているので、簡単に識別できる。Pentium Mの最初のコード名だった「Banias」は、古代遺跡にちなんで名付けられた。今年第2四半期にリリースされるPentium Mの新バージョンにつけられた「Dothan」というコード名は、別の古代遺跡の名前からとられたものだ。

 イスラエルの設計グループは、MMXマルチメディア技術の開発にも携わった。しかし不運な運命をたどった統合チップ「Timna」を開発したのもこのグループだった。しかしIntel社長のPaul Otelliniは昨年末、同社が再び、開発途上国向けの安価な統合プロセッサの開発に取り組む可能性があると示唆している。

 Intelは代々、ノートPC向けのチップとデスクトップ用チップで、共通の基本的なコアを採用していた。同社でよく採られていたやり方は、デスクトップ向けチップに、SpeedStepのような機能を追加して消費電力を抑え、低いクロックスピードで動作させるというもの。バッテリで動作するノートPCの場合、電力消費はデスクトップと比べていっそう重要な問題である。

 こうしたアプローチは、2000年にリリースされたPentium 4で変更された。Pentium 4は、高速で動作し、複数の異なるタスクを同時に処理できるよう設計された。ちなみに、現行のPentium 4は3.4GHzで動作し、またAMD最速のチップは2.4GHzで動作している。

 IntelはPentium 4の開発を進めながら、一方ですでにPentium M(コード名「Banias」)の開発も始めていた。これは電力使用効率の高いノートPC向けのチップとなるものだった。Pentium Mは、Pentium IIIとPentium 4の両方の特徴を兼ね備えているというアナリストの指摘もあったが、それ以外にも、両チップには見られない機能を備えていた。

 Pentium Mで採用された斬新な設計上の特徴のなかには、「Micro Ops Fusion」と呼ばれるものがあった。Pentium Mはこの機能を使って、決められた命令とタスクをまとめて処理することができ、それが時間や電力の節減につながった。Intel幹部は、同プロセッサの仕組みを、空港に到着した人々が別々のタクシーを使うのではなく、相乗りする様子になぞらえていた。また、Advanced Branch Predictionと呼ばれる別の機能もあり、これは効率的なタスクのスケジューリングを可能にするものだった。また、システムバスやWi-Fiチップのような部品さえ、未使用時はシャットダウンされ、電力を節減するようになっていた。だがPentium Mではいまのところ、タスクの同時実行を実現するHyperthreadingのような機能は用意されていない。

 Meromでは、デスクトップ用とノートPC用の両方のチップで同じプロセッサコアが採用される予定だが、Intelでは両者に対して明らかに異なる機能を盛り込むことになりそうだという。たとえば、Meromのデスクトップ版は大容量キャッシュを搭載し、消費電力を抑える技術を80%程度にとどめるといったことが考えられる。

 Intelがチップ販売で新たに採用したモデルナンバ−制も、この移行を円滑に進めることに役立つ

 Intelは現在、クロックスピードで各チップの等級付けを行っているが、5月からはモデルナンバーで表記されるようになる。ノートPC向けは700番台、デスクトップ向けは500番台、そして普及型PC向けは300番台の番号が各々のチップに割り当てられる(高速デスクトップ向けの900番台チップも少数だが存在することになる)。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。

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