NEC、DVDとHD DVDの互換技術を開発。世界に先駆けて試作機を完成

 NECは12月18日、1つの光ヘッドで現行DVDと次世代HD DVDの両ディスクを記録再生できる互換技術を開発し、試作機を完成させたと発表した。

 現行のDVDは、赤色レーザーダイオードを使用しているが、次世代HD DVDでは波長のより短い青色レーザーダイオードを光源に使用する。このため、互換機では2つの光源を搭載する必要があり、装置の小型化・薄型化、低コスト化が課題となっていた。今回の試作機では、回折格子付き非球面レンズを利用した光ヘッドを作成。波長の違いを回折格子で、開口数の違いを波長選択開口でそれぞれ互換する。レンズとディスクの間の距離は1.5ミリと実用的な値を確保し、CD再生にも拡張可能だ。

HD DVDドライブ

 また、DVDとHD DVDのディスク上の物理フォーマットの違いを大規模LSIの開発により機能互換した。HD DVD側では、波長寄与分以上の高密度化を実現するため、デジタル信号処理技術(適応型PRML方式)を開発、LSI化した。記録符号化方式には、PRML方式に適する変復調方式「ETM」を開発、大容量化を実現した。

 NECでは、HD DVDのコンセプトとして、HD映像記録やHD-Movieに対応する高密度・大容量化、コンシューマ機器やAV機器だけでなくPCマーケットへの応用重視、従来のCD/DVDとの互換性を持つコンボドライブ、デスクトップPCだけでなくノートPCにも対応するスリムドライブ化、装置およびディスクの低コスト化の5つを掲げている。

NEC 執行役員、渡辺久恒氏

 HD DVDは、従来のDVDと同じ基板厚0.6ミリ系を採用。ディスクの作りやすさや2層化への対応も容易で、低コスト化を図ることができる。容量は、再生型(ROM)で15GB/1層、30GB/2層、記録型では20GB/1層を実現。HD映像記録やHD-Movieを2時間以上録画できる。

 同社執行役員の渡辺久恒氏は、「DVDからのシームレスな移行が重要だ。そのためには、シームレスな技術、マニファクチャ、ビジネスが必要となる」とコメント。NECでは、2005年頃から2010年頃までにDVDからHD DVDへの移行が行われると予測しており、「現在は、市場の活性化を待っている段階」としている。

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