東芝、PC事業の収益改善へ、生産体制見直しなど打ち出す

 東芝(岡村 正社長)は9月16日、04年3月期第1四半期決算において収益が悪化したパソコン事業について、販売戦略、および開発から販売におけるコスト削減、商品開発の効率化、生産体制の見直しを柱とする新たな施策を打ち出し、早期の収益改善を図ることを発表した。

 パソコン事業の不振について同社では、「市場のウェイトが、従来の大手企業向けから、個人向け、中小企業向けに移ってきているなかで、

  1. グローバル競争に対応するための機種数増や、これにともなうプラットフォーム(内蔵回路)の増加が、結果として開発、製造、販売の各段階におけるリソース分散を招き、環境変化に対する迅速な対応力を低下させてしまった
  1. 欧米市場において当初の想定を上回るスピードと幅で売価ダウンが進み、これに十分に対処しきれなかった

 ――ことが要因である」と分析している。

 今回は、これらの要因を踏まえ、

  1. 伸長する個人向けや中小企業向けなど、市場構造にあわせた国内・海外販売体制の効率化
  2. 開発プラットフォーム数の絞込みによる開発効率の改善と商品戦略の立直し
  3. フィリピン・中国生産拠点での生産拡大や、委託生産による外部リソース有効活用

 ――などを打ち出し、低下していた市場対応力の早期回復を図り、事業強化を目指す。

 具体的な改善施策は、市場変化に対応した販売戦略として、個人向け、中小規模の民需市場への注力による売上規模拡大を図るほか、国内外販売体制の整備として、

  1. 東芝アメリカ情報システム社の組織改革
  2. 欧州現法・支店体制の再編・効率化
  3. 中国市場における規模拡大、自社展開を含めた販売網の整備
  4. 直販部隊の国内販売会社(東芝情報機器)への統合による国内法人向け営業力強化

 ――を実施する。

 収益力改善に向けたコスト削減については、

  1. 国内外販売体制見直しによる間接人員削減(国内外約500人を計画)
  2. 投入機種数(プラットフォーム)の絞込み、外部開発リソースの活用による開発コストの削減
  3. 部品点数削減、部品共通化と購買ボリューム拡大による調達コストの削減
  4. 生産体制見直しによる製造コストの削減

 ――を図る。

 商品開発の効率化では、

  1. 開発プラットフォーム数30%削減による部品の共通化/開発集中、および部品点数20%削減
  2. 中国開発者を100人から150人に増強し、海外開発力の強化加速
  3. 低付加価値モデル品の委託による自社開発リソースの有効活用

 ――を実施。

 さらに、生産体制を見直し、今年度下半期にローコスト製造拠点への生産シフトと製造能力強化を図る計画。具体的には、青梅事業所の月産8万台を5万台に減産し、量産から開発・試作機能へ比重転換するとともに、東芝情報機器フィリピン社を月産18万台から20万台に、東芝情報機器杭州社を月産7万台から12万台に増産する。また、アジア量産拠点からの直送を拡大し、カスタマイズ拠点(米国、ドイツ)の機能シフトを行うほか、製造委託比率を現在の約20%から03年度下半期には約30%に拡大する方針。

東芝

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