米国物理学会(AIP)は米国時間6月29日、スマートフォンに搭載可能なほど小さな超音波式の指紋センサを開発したとする内容の論文をウェブサイトに掲載した。
ドアのロックやスマートフォンなどで使われる指紋認証用センサには、光学式、静電容量式、感圧式などさまざまなタイプのデバイスがある。なかでも静電容量式の指紋センサはCMOS LSIと同じ工程で製造できるため、多くの家電製品やスマートフォンで採用されている。ただし、静電容量式には、指の汚れや湿気に弱いという弱点がある。
超音波式センサはこうした弱点がない。さらに、指紋の表面だけでなく表皮の下にある真皮層の指紋パターンや血管パターンまで読み取れるため、形だけ模倣した偽の指紋を見破れるなどセキュリティ向上も期待できる。その一方、超音波発信器は大きく高価なうえ、計測間隔が長く、スマートフォンに組み込めるようなものでなかった。
今回の論文を発表した研究グループは、もともと医療用に開発された技術を用い、圧電効果を持つマイクロマシンをベースとする超音波発信素子(PMUT:Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducer)を作った。PMUTは、既存の半導体製造技術で作ることが可能。研究グループは、180nmプロセスルールを適用し、制御に必要なCMOSとともにウエーハ上で指紋センサとして試作した。
試作品でジメチルポリシロキサン製の模擬指紋をスキャンしたところ、深さ1.2mmまでパターンを読み取れたという。試作品のサイズは2.3×0.7mmで、読み取り可能な面積も同程度。分解能は0.1mm。より広い範囲の指紋を読み取るには、センサの面積を大きくすればよいという。
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