人はなぜか、自分だけは交通事故にあったり、病気にあったりするわけがないと考える。楽観的すぎだ。しかし「なんとかなるだろう」と楽観的に思わなければ、未知の場所に行くこともできず、新しいことに挑戦することもできない。人間の持つ「楽観性」の不思議だ。いったい楽観性とはなんなのだろう。
著者のターリ・シャーロット氏は、数多くの実験と事象の研究により、楽観性の正体を解明しようとしている。結局のところ、楽観性は脳による錯覚ではあるが、ではなぜ人間はそのような錯覚を起こすのだろうか。謎は深まる。
錯覚や固定観念によって、人あるいは動物が、どれほど惑わされやすい生き物であるかを証明する実験が、本書では次から次へと示される。実験の分析結果を知ることが、すぐに何かの役に立つということはないかもしれないが、それを知ることによって、日々の選択の中で納得のいかなかったことに答えを出せる可能性はある。
多少の楽観性は、生きていく上で必要ではあるが、楽観的すぎれば、事故を招いたり、自分の健康を危険にさらしたりすることにもなりかねない。脳が起こす体への影響を理解することで、そのような最低限のリスクを回避できるかもしれないのだ。
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