全国をバスで巡って子どもと研究体験:モジラ、MozBusプロジェクト開始

 一般社団法人のMozilla Japanは9月19日、リアルなバスを走らせてさまざまな実験を行うプロジェクト「Mozilla Bus(MozBus=モズバス=プロジェクト)」を開始した。キャンピングカーを改造し、IPSTAR製の衛星ブロードバンド車載局、自家発電機、PCなどを積み込んだ特別車両を用意。ネットワークや電気のない環境に出向いて、現地の子供とともに体験型ワークショップを開く。

 Mozilla Japan代表理事の瀧田佐登子氏は「最近の子供たちは無線網を利用することが当たり前になっているが、例えば自分でネットワークケーブルを作って、どうやってネットワークにつなげるのかを自分で体験してもらうといったモノづくり体験を行う場としての活用に加え、電気や通信インフラのない被災地での防災インフラとしての活用など、全ての工程をオープンプロジェクトとして記録していきたい」と、このバスを研究や実験の場として活用することを表明した。


Mozilla Japan 代表理事 瀧田佐登子氏
実際のMozBus 実際のMozBus
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送られたデータをもとに3Dプリンタを使って笛を作成中 送られたデータをもとに3Dプリンタを使って笛を作成中
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情報格差という事実がある

 今回のMozBusプロジェクトは「“オープン”を軸としたモノづくりを学び、実践する場」として、Mozilla Japanが2012年春から進めてきた「Mozilla Factory」プロジェクトの一つとして誕生した。会見場となったのは、Mozilla Factoryで実際に活用されているオープンなスペースだ。

 「日本はモノづくり大国といわれるが、それを実践する場としてMozilla Factoryをスタートした。その後、リアルにオープンな環境で作業をする場が必要ということで、Mozilla Japanが移転し、スペースを用意した。その経験を経て実感したのは、情報格差が生まれている事実。このスペースに来て、学ぶことができる子供たちは限られている。それならバスを用意して、こちらから出向いていくことができないか? という発想が生まれた。2年前の東日本大震災の際に、インフラが壊れて、ネットワークを利用するのも大変で、被災地での教育が途絶えてしまった時期があった。こうした問題点を解決できないかということで、ITバスを走らせる発想がスタートした」(瀧田氏)

 MozBusプロジェクトは“すべての人に、いつでも、どこでも、どんなときでもウェブを届ける”ことを基本的な目的としている。さらに「防災インフラとウェブの研究」「移動型出張ワークショップ」「ICT教育コンテンツの研究」「新しいウェブの在り方の創造」という4つの目的も持っている。実際に行われた研究や実験などはオープンソースプロジェクトとして公開し、共有、再利用できるようにする。

 現時点でのプロジェクトメンターとして、慶應義塾大学環境情報学から部長の村井純氏、准教授の田中浩也氏と筧康明氏、大木聖子の4人、国立天文台の大江将史氏、OpenStreetMap Foundation Japanの古橋大地氏が参加している。協力企業としてアジア太平洋地域で衛星ブロードバンドを提供するIPSTAR、ネットワーク機器のシスコシステムズも参加を表明している。

 実際に利用したのはキャンピングカーのフォードジェイコイーグル。バスと名前はついているが、キャンピングカーは普通免許で運転できる。現在決定しているのは、10月12日に宮城県で開催される「みなみさんりく復興マップづくり」、10月14~16日に岩手県で開催される「第1回 日本災害医療ロジスティクス研修」、11月14~16日に東京の日本科学未来館で開催される「G空間EXPO」の3つとなっている。

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