タコイカウイルス作成の男を再逮捕--なぜ“器物損壊容疑”か?

Emi KAMINO 岩本有平(編集部)2010年08月04日 17時02分

 通称“タコイカウイルス”と呼ばれ、感染するとパソコン内のファイルを魚介類の画像に書き換えるコンピューターウイルスを作成し、ダウンロードした人のパソコンを正常に使えなくしたとして、会社員が器物損壊容疑で警視庁に逮捕された。

 警視庁の調べによると、容疑者は2010年5月、音楽ファイルを装ったコンピューターウイルスを作成し、ファイル共有ソフト「Winny」に公開。ファイルをダウンロードした男性のパソコンがウイルスに感染し、正常に動作しなくなった。

 同ウイルスは、2009年夏ごろからファイル共有ソフトの利用者らの間で流行。すでにおよそ5万人が被害に遭ったと見られている。

 同容疑者は、2008年1月にも別のコンピューターウイルス、通称「原田ウイルス」を作成した容疑で逮捕。同年5月に、著作権法違反および名誉毀損罪で、執行猶予付きの有罪判決を受けている。調べに対し、同容疑者は「ウイルス作成の技術がどれだけ向上しているか試したかった」などと供述し、容疑を認めているという。

 これまでウイルス作成者が逮捕される場合、威力業務妨害や著作権法違反(ウイルスにアニメなどの画像を使った場合など)が適用されてきた。今回、器物損壊容疑での逮捕となったことについて、Winny弁護団事務局長を務める弁護士の壇俊光氏は「事実関係を確認していないが、(アニメなどのコンテンツをダウンロードし、ウイルスに感染したという経緯に)業務性が認められなかったため、器物損壊となったのではないか。しかし、実際『モノが壊れたか』という意味で器物損壊が認められるかについては、慎重な判断が必要だ」と話している。

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