KDDI決算発表、4〜9月期は減収減益--「スマートフォンの投入遅れは戦略ミス」

藤井涼(編集部)2010年10月22日 21時37分

 KDDIは10月22日、2011年3月期上期(4〜9月)の連結決算を発表した。営業収益(売上高)は前年同期比0.3%減の1兆7184億円、営業利益は同1.2%減の2479億円、純利益は同5.7%減の1370億円となった。

  • KDDI代表取締役会長兼社長の小野寺正氏

 移動通信事業では、シンプルコースが浸透したことによる音声ARPU(ユーザー1人あたりの月額利用額)の減少や、スマートフォンの投入が遅れたことによる顧客の流出が影響し、営業収益が前年同期比2.4%減の1兆3052億円、営業利益が同9.0%減の2477億円となった。

 競合他社に比べてスマートフォンの投入時期が遅れたことについて、KDDI代表取締役会長兼社長の小野寺正氏は「我々の戦略ミスであることは間違いない」と話す。また遅れの要因としては、KDDIがスマートフォンよりも携帯電話に力を入れていたことや、スマートフォンにあらかじめワンセグや赤外線通信など従来の携帯電話向けの機能を搭載したためと説明とした。

 今後はスマートフォンに重点を置いていくほか、タブレット端末や電子書籍端末も積極的に投入していく。また、複数の携帯キャリアから同じスマートフォン端末が発売されることが予想されるとした上で、差別化を図るには魅力あるアプリをどれだけ先行して提供できるかが重要だと語った。

 固定通信事業は、音声系収入が減少したもののグループ会社の収益増などにより、営業収益は前年同期比5.7%増の4385億円となった。営業損失は37億円となったが前年同期と比べて186億円改善している。今後は、J:COMとの事業シナジーを強めるなどして営業利益ベースでの黒字化を目指すとした。

  • 連結決算

  • 移動通信事業

  • 固定通信事業

 またKDDIは同日、総額1000億円または23万株を上限とする自己株式の取得を発表した。その背景として小野寺氏はKDDIの株価の低下を挙げ、「KDDIの成長性が見えにくくなっているため」と説明する。12月に新社長に就任する田中孝司氏(現代表取締役執行役員専務)が新政策を取ることで、KDDIはまだ伸びるというメッセージも込めて自社株を取得したとコメントした。

 同日の決算発表をもって小野寺氏による会見は最後になる。小野寺氏はKDDIで社長を務めた10年間を振り返り「最も大きな課題は、3社(DDI、KDD、IDO)合併の効果をどう出していくかだった。10年でそれなりの形ができたのではないか」と語り、自身がやり残したことについては田中氏に託すとした。

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