高性能コンパクトキーボード Happy Hacking Keyboard(HHKB)シリーズは、1996年12月の販売開始から2016年で20周年を迎える。
20周年を記念して関係者を中心に謝恩会を開き、発案者である東大名誉教授 和田英一氏らが登壇し、誕生した背景やこれまでの軌跡などについて語った。
なお、PFUは記念キャンペーンとして、HHKB Professional BT または Type-Sと20周年記念 特別キーボードルーフをセットにした「20周年記念 特別キーボードルーフセット」をPFUダイレクト限定で販売中だ。価格は2万8500円(税抜)。キーボードルーフは「クリア」または「墨」があり、各色100台ずつ200セットとなっている。
HHKBシリーズは、(1)ASCII配列、(2)十分な深さのストローク、(3)持ち運びに適する「小ささ・軽さ・強度」──の3点を開発コンセプトとして、1996年12月に発売された。初回ロットはわずか500台。20年間で累計40万台を超える台数を出荷している。特にキーボードにこだわりを持つプログラマーやエンジニア、文筆家らから絶大な支持を得ている。
このHHKBシリーズが生まれたきっかけは、計算機科学者の和田英一氏(現:東京大学名誉教授、IIJ技術研究所研究顧問)がキーボードに悩んでいたことにある。「ワークステーションを入れ替えるたびにキーボードが微妙に変わってタッチタイピングができない悩みを抱えていた」という。
「このキーボードができたのにはたくさんの偶然が積み重なっている」(和田氏)とし、和田氏とPFUの技術者らが開発に至るまでのエピソードを明かした。1992年、技術情報誌「PFU TECHNICAL REVIEW」で巻頭言を頼まれ、通常は1ページ程度が多い中、10ページ以上も書いてしまったという。開発の発端となった、和田氏の論文はウェブサイトで読める。
製品名にある「Happy Hacking」は、プロフェッショナルをターゲットとする製品であることを表現したものだ。しかし、ハッキングやハッカーという言葉の正しい意味が一般に広まっていなかったため、商標の申請で却下されそうになったという。また、米国市場でもあまりいい印象が持たれないとし、ロゴの代わりに自分の名前が入れられる仕様に変更して、価格を下げたLight版を用意したところ、飛躍的に販売が伸びたエピソードなどを明かした。
現在85歳となる和田氏の関心事は、3Dプリンタだ。モデラーではなく、すべての曲線をScheme/LISPで作ったという作品を披露し、「3Dプリンタがあれば、Happy Hackingキーボードの金型なんていらないくらい」と会場の笑いを誘った。
なお、初代モデルの金型の作成には2000万円かかっていたという。
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