手を組んだソフトバンクと動画サービス大手「Netflix」、それぞれの期待

 ソフトバンクとNetflixは8月24日、9月2日にサービスを開始する米国生まれの動画配信サービス「Netflix」の日本展開について業務提携すると発表した。ソフトバンクの公式ショップや家電量販店などを通じてNetflixの申込受付をするほか、携帯電話料金などとの合算請求にも対応するという。

 同日の新サービス発表会で登壇した、ソフトバンク代表取締役社長 兼 CEOの宮内謙氏は、2008年の「iPhone」取り扱い開始、2014年の「Pepper」開発、そして2015年に入りIBMとの協業でスタートした人工知能「Watson」の国内事業化に向けた取り組みなど、これまで同社がライフスタイルやビジネスの生産性にもたらしてきたさまざまな技術革新を紹介。


ソフトバンク代表取締役社長 兼 CEOの宮内謙氏

 続けて「ソフトバンクはこれまで常に世界の最新テクノロジを日本にもたらし、世の中を変えてきた。テクノロジの進化は止まらない。次に私たちが組むテクノロジが、Netflixだ」と今回の業務提携を発表した。

 宮内氏はNetflixについて、「普通の映像配信サービスと決定的に違うのは、科学的、数学的にユーザーの利便性を追求している点。Netflixでは75%がレコメンド機能から作品を視聴しており、ビッグデータを徹底的に活用してユーザー体験を生み出している。クリエイティビティとテクノロジをハイブリッドさせた空間なのではないか。テクノロジが映像の世界をも変革させている」と評価。

 また、Netflixが巨額の予算を投じて製作しているオリジナルコンテンツの品質にも高い期待を寄せた。「新しいテクノロジによって、コンシューマに素晴らしい価値を提供し、(映像コンテンツの)業界に新しい流れを作っていくのではないか」(宮内氏)。


ソフトバンク店頭で簡単にNetflixに加入できるようにする

 その上で、宮内氏はNetflixの店頭における加入者獲得を独占的に進めることや、オリジナルコンテンツを共同製作していく方針を表明した。「ソフトバンクショップや家電量販店の店頭には毎日膨大な数のお客様がいらっしゃる。その店頭でNetflixのデモを体験いただいたり、申込んでいただける環境を提供していく。利用登録はiPadをベースにした専用ツールを使い、店頭で簡単にできるようにする。10月発売以降のAndroid端末にはNetflix視聴アプリをプリインストールし、とにかく簡単に始められるようにする」(宮内氏)。

 オリジナルコンテンツの展開について、詳細はまだ決まっていないというが、宮内氏は「ソフトバンクの保有するビッグデータやNetflixのビッグデータ解析ノウハウを活用して、オリジナルコンテンツの製作に参画できればと心から思っている。そのコンテンツが世界に出ていくことになれば、日本のアーティストにも貢献できるのでは」と語った。


オリジナルコンテンツの共同製作にも意欲的だ

 ビジネスモデルについては、「ソフトバンクはスマートフォンや光サービスをもっと普及させなくてはならない。Netflixを観たい人がソフトバンクのスマートフォンを購入すれば、店頭で簡単に利用開始手続ができる環境を作ることで、Netflixの会員獲得にも貢献でき、Win-Winの関係を構築できるのではないか。そうすれば、さまざまな収益モデルが考えられるはずだ」とコメント。

 ソフトバンクはNetflixというキラーサービスを契約者獲得のドライバーにし、Netflixはソフトバンクの販売網を会員獲得のドライバーにすることで、双方にメリットがあるとの考えを示した。


Netflix日本法人代表であるグレッグ・ピーターズ氏

 続いて登壇したNetflix日本法人代表であるグレッグ・ピーターズ氏は、今回の提携について「私たちは、未知の世界を発見する、新たな世界に足を踏み入れるような素晴らしいストーリー(作品)を通じて世界中の人々をつなげていきたいという想いを道しるべにサービスを展開している。しかし、これだけ大胆で野心的な目標を掲げると、その道のりは決して平たんなものではなく、ともに歩むパートナーが必要だ。そして、そのパートナーは、革新、問題解決、創造へのあくなき追求をし、困難をチャンスと捉えて付加価値を追求する企業でなくてはならない。ソフトバンクはまさにそのような企業だと考えている」とコメント。

 Netflixは世界各国でネットでの会員獲得を中心に拡大したが、日本ではソフトバンクとともに店頭加入に注力していく。この点について、グレッグ氏は「顧客に情報を提供し、従来のテレビとは大きく異なる新しい体験に触れてもらう(ためにソフトバンクの店頭を活用していく)。加入してすぐに視聴できる機会を提供したい」と語った。

 なお、ソフトバンクはエイベックスと共同で動画配信サービス「UULA」を運営しているが、宮内氏はUULAについて「事業はこれからも継続していく。UULAは音楽を楽しむことが中心のサービスであり、映画やドラマが中心のNetflixとは似て非なる存在だと認識している。エイベックスの松浦社長とは良好な関係を構築している」と語ったが、今後についてはNetflixの加入促進を強化していくとした。

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