スタジアムの臨場感を遠隔地に立体的に再現する伝達技術--NTTが開発へ

 NTTは2月18日、東京オリンピックが開催される2020年に向けて、スタジアムなどスポーツ競技会場の臨場感をそのまま遠隔地に伝送し、再現することを目指した超高臨場感伝送技術「イマーシブテレプレゼンス技術 Kirari!」(PDF)の研究開発を推進すると発表した。

 この技術は、新たに開発に着手した高臨場感メディア同期技術「Advanced MMT」と同社が開発した次世代映像圧縮規格「H.265/HEVC」、ロスレス音声符号化技術「MPEG-4 ALS」を組み合わせて、選手の映像・音声のみならず、選手のいる空間や環境の情報をも伝送。その伝送先でプロジェクションマッピング技術を活用して、競技が行われている空間を立体的に再現するという。

 新開発するAdvanced MMTは、絶対時間による映像・音声のリアルタイム同期に加えて、競技が行われている空間を再現するために必要な構成要素の情報も同期し、伝送先で再現できる技術。サイズや照明・音響などの設備が異なる競技会場と伝送先空間であっても、被写体は実物大で伝送しつつ、被写体以外の情報は伝送先のサイズにフィットした形で伝送して同期再現することで、あたかも目の前で競技が行われているように見えることを目指しているという。


Kirari!の課題とアプローチ

 例えば、サッカー競技をスタジアムからサイズの異なる体育館に転送する場合、選手などの被写体は、座標と形状をスタジアムでリアルタイムに計測し、映し出すべき被写体を実物大で切り出して伝送。被写体以外の映像や音響空間、照明情報などは、Advanced MMTによって、伝送先の再現空間の情報に基づいて、自動的に再構成するための情報を算出して伝送する。

 伝送先の体育館では、会場のサイズにフィットした被写体以外の映像がプロジェクションマッピングによって投影され、音響空間も体育館のスピーカーの数にフィットさせて再現。こうして再現した空間に、被写体を別のプロジェクターで三次元的に浮かび上がっているように投影する。

 この技術が実現すると、あたかも競技会場にいるかのように競技を世界の多地点で同時刻に体感できるようになるという。同社では2015年度中に国内のスポーツ大会の遠隔ライブ観戦トライアルの実施を目指して開発を進め、2020年までにはさまざまなパートナーとの連携を通じ、スポーツやライブにおいて、超高臨場感のある観戦を提供したいとしている。また、地方の祭りなどの無形文化財など、遠隔ゆえにこれまで多くの人が鑑賞することが困難なイベントなどに関しても技術を活用していきたいとのこと。

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