クックパッドらが語る「ユーザーを活性化させるコミュニティマネジメント」

 三菱地所が海外企業や国内のベンチャー企業を対象にオフィス誘致や事業開発支援を行っているEGG JAPAN(日本創生ビレッジ)は11月28日、国内外で注目されているウェブサービス運営企業のコミュニティ構築担当者をゲストに招き、コミュニティの重要性や今後の可能性について考える「The Power of Community 日本とU.S.のコミュニティマネージャに聞くコミュニティの力」を開催した。

 「コミュニティを作る。価値を創造する。」と題したパネルディスカッションでは、ピンタレストジャパンの大石結花氏、クックパッドの中山亜子氏、TwitCasting(ツイキャス)を運営するモイの丸吉宏和氏が登壇。Sansanの日比谷尚武氏の進行のもと、コミュニティ運営における各社の工夫が語られた。


(左から)ピンタレストジャパンの大石結花氏、モイの丸吉宏和氏、クックパッドの中山亜子氏

 会は日比谷氏がいくつかの疑問をキーワードとして挙げ、それに各社が答えていく形で進行。「コミュニティマネジメントを行うチームの社内の位置づけと役割は?」という質問に対して、9名という少人数でツイキャスを運営しているモイの丸吉氏は、「コミュニティマネジメントには社長を含めて9名全員で取り組み、社員全員がツイキャスのユーザーとして他のユーザーとコミュニケーションをとっている。ユーザーと会話することで良いサービスとは何かを考えることが重要で、開発者にはコードと向き合う前にユーザーと向き合うことを重視させている」と回答。サービスの運営に携わる全員が当事者意識を持ち、サービスの課題や改善すべき点を探ることの重要性を強調した。

  • モイの丸吉宏和氏

 「ユーザー像についてどう考えるか」という問いについては、クックパッドの中山氏が「クックパッドの場合、女性が結婚して“家事をやらねば”という義務感を持つことから使い始める場合が多い。最初は料理が上手ではない人もいるので、レシピを閲覧して活用し、ステップアップする中でアレンジレシピを投稿したりしている。投稿方法が簡単なので、自分のレシピ知識を整理する手段として活用したり、レシピを友人や娘と共有する手段として活用したりするケースもみられる」と語り、ツールとして利便性の高いサービスを提供することで、ユーザーの投稿が活性化している現状を紹介した。

  • クックパッドの中山亜子氏

 「日本と海外でコミュニケーションに違いはあるか」という問いについては、サンフランシスコに拠点を置くピンタレストの大石氏が自社の事例を紹介した。企業とユーザーの間で生まれるコミュニケーションについて、大石氏は「アメリカの場合はとてもカジュアルでフレンドリーなのが特徴だと述べ、コミュニケーションにおける丁寧さについては日本のほうが高い」と指摘。ユーザーにニュースメールなどを発行する場合、大石氏はフレンドリーさを出すために自分自身のファーストネームを使っているという。ただし、発信する内容によってはフレンドリーさが読者に不快感を与える可能性があるため、TPOに合わせて丁寧に語るかフレンドリーに語るかという点に気を配っているそうだ。

  • ピンタレストジャパンの大石結花氏

 会場からは、「どのような形で他社とコラボするとユーザー満足度に繋がるか」という質問が出され、クックパッドの中山氏は「ユーザーの価値を一番に考えた、ユーザーが喜べるコラボ企画を考えるべき。クックパッドでは食品・飲料メーカー/調理器具メーカーと組んで、料理が楽しくなるような企画を行っている。異業種では、自動車メーカーと組んでピクニックを楽しくする企画を立てたり、映画とコラボしたりといったケースもある」と自社の事例を紹介した。

 モイの丸吉氏も中山氏の意見に賛同し、「ユーザーが楽しくなり、かつWin-Winの関係が作れることが重要。ツイキャスの価値はマスメディアがリーチできないユーザーにリーチできること。ツイキャスを活用したら面白いのでは、と思える企業は多数ある」と企業とのコラボレーションを拡大していくことに意欲を見せた。

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