フードデリバリー「LINE WOW」始動--有名店の高級ランチをお弁当で

 10月に開催された事業戦略イベント「LINE CONFERENCE TOKYO 2014」で、決済やタクシー配車、デリバリー、音楽などの新サービスを次々と発表し、“生活”領域への本格進出を掲げたLINE。

 その第一歩となるフードデリバリーサービス「LINE WOW」のiOS版が11月20日に公開された。4000円以上するプレミアムな弁当を配達するサービスで、オフィスでの来客時のおもてなしや、育児で外食に行けない母親同士の集まりなど、特別なシーンでの利用を想定しているという。まずは渋谷区エリア限定で注文受付を開始する。


LINE上級執行役員 CSMOの舛田淳氏

 LINE WOWでは、有名店である「秋本」(麹町)、「ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー」(広尾)、「おざき」(麻布十番)、「小熊飯店」(千駄ヶ谷)、「二戀」 (広尾)、「とり喜」(錦糸町)の6店舗が、LINE WOWのためだけに開発したプレミアムなランチ弁当を販売する。どれも1日に10~20個程度と数に限りがあるため、1~4日前の事前予約が必要になるという。

 ミシュランで星を獲得するほどの高級店ばかりということもあり、価格もかなり高額に設定されている。たとえば、秋本の「共水うなぎ うな重」は4700円、二戀の「二戀謹製 四季菜弁当」は6500円、ア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴーの「フレンチフルコースBOX“Solo”」に至っては何と1万円だ。正直、気軽に手を出せる値段ではないが、なぜこの価格帯を選んだのか。

 LINE上級執行役員 CSMOの舛田淳氏は、「せっかく新しいことをするのであれば、500円のお弁当を届けるといったものではなく、デリバリーをした時に『WOW(ワオ)』と言ってもらえるような体験を与えたかった」と説明する。そのため1つ1つのメニューから器の形に至るまで「各店舗にはワオな体験をさせてくれとルールを設けた」(舛田氏)ほどのこだわりようで、条件を満たせなければたとえ有名店でもメニュー化しなかったのだという。


 弁当を注文するには、LINE WOWアプリを起動し、メニューや個数、配達日時(11~14時)を指定する。その後、氏名や住所などの情報と支払い方法を入力することで注文が確定する。配送状況はアプリでリアルタイムに確認でき、到着時にはデリバリースタッフから電話がある。商品と一緒に、LINE WOWオリジナルのカトラリーセットやランチマットなどももらえるという。

 支払い方法はクレジットカードのみとなるが、冬以降に提供する決済サービス「LINE Pay」にも対応する。また、デリバリーした料理のレビューを投稿できるようにする予定だ。店舗向けには、LINE WOWアプリ内から店舗に送客できる施策や、予約システムとの連携なども検討していく。なお、当面はメッセージアプリ「LINE」と直接的な連携などはしないという。


「LINE WOW」の利用イメージ

“動くコンビニ”のような存在を目指す

 LINE WOWは同社のオンデマンドEC事業の第1弾と位置づけられている。舛田氏は「LINE上からリクエストを投げると物が届くサービスを提供したかった。ただし、大手のEC事業者のように倉庫などを設けてスケールを出す中央集権的なものではなく、シェアリングエコノミー(共有型経済)のように分散型の方が今の時代に合っていると思った」と、サービス提供の経緯を語る。また、最初にフードデリバリーを選んだことについては、多くの消費者からニーズの高い商材を選ぶことでトランザクション(取引き)を増やし、全国に物流網を構築したい狙いがあるという。

 ただ、ランチで4000円以上という価格は、10~20代の利用が盛んなLINEのユーザー層とは少々ズレているようにも感じる。この点については「今回は花火だと思ってほしい」(舛田氏)と語り、“ワオ”な体験を提供するためにまずはインパクトのある商品を揃える必要があったと説明。今後はもう少し低価格なメニューも用意するほか、スイーツやジュースなど商品の幅も広げていく予定だ。また店舗数やエリア、配達時間なども拡大していくとした。

  • 「Baedal Minjok」

 同社ではLINE WOWの提供にあたり、韓国最大のフードデリバリーアプリ「Baedal Minjok(配達の民族)」を提供するWoowa Brothersと新会社LINE Bros.を設立している。日本のデリバリー会社やバイク便会社との連携も考えたというが、「韓国は文化的に暖かいものが食べたいというニーズが強く、テイクアウトやデリバリーの文化が発達している。よりスマートフォンらしいサービスにするために、すでにさまざまなチャレンジをしているWoowa Brothersと組むことにした」(舛田氏)という。

 将来的にはLINE WOWをフード領域にとどまらず、即時性が求められるあらゆる商品やサービスを提供するオンデマンドECへと成長させたいという。舛田氏は「幅広いニーズに応えられる“動くコンビニ”のような存在になれば良い。もらって嬉しいものや、自分で並ばないといけない商品は山ほどある。それらをデリバリーで提供したい」と意気込んだ。

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