米政府の電子投票システムは持続的な監査が必要--専門家が指摘

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2008年04月11日 17時46分

 これまで、全米各地の選挙管理当局は、不具合のある電子投票システムに膨大な資金を投じてきた。しかし、彼らは電子投票システムを捨て、一から出直すつもりはない。電子投票が専門のある研究者は米国時間4月10日、セキュリティイベント「RSA Conference 2008」で、この問題の唯一の解決策は、選挙毎に監査を実施し、集計結果を確認するしかないと指摘した。

 カリフォルニア大学バークレー校のコンピュータ科学教授であるDavid Wagner氏は、2007年にカリフォルニア州の委託で実施された3つの主要な電子投票システムの調査を指揮した。Wagner氏は電子投票に関する公開討論会の中で、同調査の結果、各システムに深刻な脆弱性が発見されたと語った。その脆弱性を利用することにより、1台の投票機にアクセスするだけで、システム内の他のすべての投票機をウイルスに感染させ、投票結果の操作が可能になるという。

 Wagner氏は、3つの電子投票システムは、構造上の弱点や実施面の脆弱性、不具合を抱えており、これは、セキュリティを考慮されずに設計された商用ソフトウェアが抱える問題と似ていると指摘した。

 Wagner氏は、「これにより、選挙管理人らは苦境に立たされている」とした上で、しかし、当局者らは電子投票機の使用にこだわっていると付け加えた。だからこそ、監査こそが唯一の解決策なのだ。

 カリフォルニア州ではペーパートレイルが義務付けられているため、監査は公開され、自動的に実施されるべきだ、とWagner氏は語る。カリフォルニア州では、選挙区の監査対象を無作為に抽出し、紙の投票用紙を手作業で集計する監査方法を取っている。Wagner氏は、この監査方法を絶賛した。

 他の研究者らもWagner氏と同様の結論を下している。2月に開催されたあるカンファレンスでは、プリンストン大学の大学院生J. Alex Halderman氏が、機械を利用した監査を提案した。また、マサチューセッツ工科大学(MIT)の電気工学およびコンピュータ科学教授であるRonald Rivest氏は、8日にRSA Conference 2008で行われた暗号解読機に関する討論会で、ソフトウェアを使った投票システムではなく、紙などの別の手段を用いるべきだと指摘した。

 問題は、電子投票機を使用しているすべての州がペーパートレイルを導入しているわけではないこと、また、多くの州では集計する投票用紙があっても監査を実施していない点だ、とWagner氏は指摘する。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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