経産省、情報セキュリティ政策の新たな指針をまとめる

 経済産業省の産業構造審議会情報セキュリティ基本問題委員会は5月10日、同委員会の活動報告書「グローバル情報セキュリティ戦略」を公表した。

 報告書では、情報セキュリティ問題の現状として、ファイル交換ソフトを介して感染するウイルスによる政府機関や重要インフラ事業者らからの情報漏洩をはじめ、上場企業の不正アクセス・機密漏洩事故にかかわる潜在リスク、ボットなどによる認知困難な被害の増加傾向を指摘している。

 また、対策状況として、政府機関や重要インフラの取り組みは十分でないものの、中央機関を中心とした統一的・横断的体制が整いつつあり、徐々に強化されていると評価している。

 一方、企業や個人については、基本的な対策レベルは全体的に向上しつつあるものの、格差が生じていると分析している。

 また、今後の可能性として、オンラインゲームでのプレーで得たゲーム内通貨が現金に換金できるリアルマネートレードによって、バーチャルな世界での活動が実態経済との関係を構築しつつある事例や、現実の社会と限りなく近い構造を有する仮想都市が構築され、バーチャルな世界での住民の反響が現実の対応を左右している事例など、ITで構築された仮想の世界と現実の世界が相互に影響を与え合う事例が増加しつつある傾向を列挙。“ITは国内における経済社会の基盤となり、ライフラインになる”という「情報セキュリティ総合戦略」を策定した当時の認識が、その後のIT化の進展により、ITが経済社会システムに融合した密接不可分のものに進化を遂げつつあるという、新たな認識を示した。

 さらに今後は、セキュリティ上の脅威に対する国際的対応や、国際競争力強化の基盤、国内外の多面的変化への対応といったグローバルな展開が必要だと提言している。

 また、「情報セキュリティ総合戦略」で掲げられた、“世界最高水準の『高信頼性社会』実現による経済・文化国家日本の競争力強化と総合的な安全保障向上”と、“我が国経済社会が直面し続ける『変化と挑戦』を支える情報セキュリティの実現”という基本目標の達成に向け、(1)情報セキュリティ先進国の実現、(2)情報セキュリティ政策のグローバル展開、(3)国内外の変化に対応するメカニズムの確立――の3つの柱に沿って対策を講じていく方針が盛り込まれた。

 同委員会では、今回新たに策定した戦略を軸に、今後も情報セキュリティ政策会議、内閣官房情報セキュリティセンターを中核に、官民が連携・協力して、セキュリティ対策を講じていくよう要請している。

 同委員会は、2003年に政府が策定した「情報セキュリティ総合戦略」の見直しを図る目的で設置。以降、変質、多様化、国際化する情報セキュリティ問題への対策のあり方について、2006年11月から2007年3月までの間、審議を行い、今回報告書としてまとめた。

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