米政府、航空各社に詳細な搭乗者情報の提出を要求

Declan McCullagh(CNET News.com)2004年09月22日 18時51分

 米国土安全保障省(DHS)は21日(米国時間)、米国の各航空会社に対し、今年6月に国内線を利用した全乗客の記録を提出するよう命じると発表した。

 DHSの運輸保安局(Transportation Security Administration:TSA)から出された「緊急」通告によると、乗客が航空機への搭乗を許される前にテロリストを割り出すことを目的とした、「Secure Flight」と呼ばれるコンピュータ事前審査システムのテストに、乗客記録が必要だという。ただし同システムについては、各方面から論議が巻き起こっている。

 各航空会社が10月29日までに提出を求められている情報には、少なくとも搭乗者の氏名、予約日、旅行代理店、旅行プラン、支払い方法、フライトナンバー、座席に関する情報が含まれている。

 TSAは搭乗客の記録を2通りの方法で使用するという。まず1つめは、Secure Flightが乗客の情報と米政府のデータベースに保存されている記録とを照合できるかどうかを確認するというもの。また2つめは、銀行、住宅ローン、クレジット業界にサービスを提供している詳細不明の商業データ収集業者から購入したデータと乗客記録とを組み合わせ、それがデータマイニングプロセスにどの程度役立つかを確認するというものだ。

 Secure Flightは、多くの問題を抱えていたComputer Assisted Passenger Prescreening System(CAPPS)の後継システムで、名称も変更された。CAPPSは、航空機を利用した米国民の身元調査を徹底的に行なうことから、プライバシーの侵害問題が生じることを懸念した一部の議員の反発を招いた。DHSのTom Ridge長官は今年7月、こうした理由からCAPPSを廃止すると発表した。

 DHSでは、データの安全かつ厳重な保管を公約した21日の発表により、プライバシーに関する懸念が多少沈静化することを望んでいる。TSAのプライバシー問題担当官のLisa Deanは、別の通知の中で、TSAは次世代の乗客事前審査プログラムをプライバシー擁護団体や諸外国などが表明している懸念に対応した設計にすることにより、プライバシーに関するあらゆるリスクを軽減するための措置を講じてきたと確信している、と述べている。

 電子プライバシー情報センター(EPIC)の顧問弁護士、Marcia Hofmannは、航空会社に対し記録提出を要求する法的権限がTSAにあるのか不明確だ、と指摘する。また同氏は、いわゆる「Watch List(監視リスト)」や「No Fly List(搭乗拒否リスト)」について、掲載されている名前と似た名前の罪なき人々が迷惑を被る可能性を指摘し、それらのリストへの依存を拡大することが果たして賢明な選択なのかについて疑問を呈している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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