三井物産がセキュリティサービスを分社化、ビジネスへの「本気度」は?

 三井物産は7月22日、情報セキュリティ専門の新会社 三井物産セキュアディレクション(MBSD)の設立を発表した。MBSDは、2001年より三井物産情報産業本部で推進してきた情報セキュリティ事業をビジネスとしてさらに強化するために設立された戦略子会社。会社登記は7月9日で8月2日より営業を開始、3年後には現在の約3倍の規模となる売上高100億円を目指す。

 具体的なサービス内容としては、PKI構築構築などを手がける社内情報セキュリティ統制ソリューション「Trustella」、ウェブアプリケーションの検査などを行い、外部からの侵入脅威へ対処する「GTI」、安全なコミュニケーション手段を実現する「SecretSeal」の3つのブランドを用意。これらは、従来より三井物産が提供してきた認証技術や暗号化技術のサービス名だが、

三井物産セキュアディレクション 代表取締役社長の野村一洋氏
「企業内セキュリティ対策・外部に対するセキュリティ対策・安全なコミュニケーションという3つの柱を立てて、ユーザー企業の付加価値向上に貢献する」(MBSD代表取締役社長の野村一洋氏)との狙いから、ソリューションブランドにしたという。なお、それぞれのブランドで提供されてきた侵入検知システム「Sourcefire IMS」(Sourcefire)や電子メール暗号化製品「Voltage SecureMail」(Voltage Security)といった製品群は、今後も継続して提供する。

 設立に当たり、三井物産の執行役員で情報産業本部長の小川真二郎氏は「商社という立場からも、情報の機密性や重要性は深く認識している。そこで、ニーズが高まっているこの分野に関して、より深くコミットするために専門会社の設立に至った」と述べる。

 また、専門会社として分社化されたメリットについて、前出の野村氏は「これまで情報産業本部において、高い技術力を持つセキュリティ専門家や製品を積極的に採用してきた。だが商社の一部門ということで、ユーザー企業からは『セキュリティ市場へのコミットメント』や『機動力』の2点について疑問や不満の声が寄せられていたのも事実。今回の会社設立によって、市場の声を迅速に反映させ、継続的なセキュリティサービスを提供する体制が整った」と話す。

MBSDの具体的な新戦略は?

 今後の戦略としては、三井物産グループ企業を始め各種SIパートナーと販売契約を結んでいくほか、業務拡大に向けてセキュリティ技術・コンサルティングの専門知識を持つ人材を「年度内に最高20名ほど採用していきたい」(野村氏)と語る。しかし、新会社として提供する新サービスやソリューションについては、「次の機会に発表したい」(同)とのことで、今回は踏み込んだ話は聞けなかった。また、「具体的にどの分野にどれくらい注力していくか」という売上拡大策についても、今後発表するとのこと。方向性としては、従来売上高が大きかった製品ライセンスビジネスではなく、コンサルティング部分を強化していくとのことだ。

 構想段階にある新サービスは、これまで蓄積されてきたセキュリティナレッジやノウハウの提供だという。このサービスは、これまで提供してきた「Webアプリケーション脆弱性検査サービス」から得られた脆弱性と対処法の分類をナレッジベースとして提供するというもの。また、将来的にはログ解析を使ったセキュリティソリューションも提供していく構えだという。

 最後に、MBSDの野村氏は「われわれは常に、セキュリティ分野では後発であるという認識を持っている。そのため優秀な専門家を集め、先進ソリューションをいち早く提供してきた。今回の分社化は、セキュリティ市場のリーディング・カンパニーとなるべく、機動力・コミットメントをより強化したと理解いただきたい」と強調した。その本気度については、今後の同社の戦略や方向性が明らかになるにつれ、見えてくるだろう。

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