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自動化技術で見えてきた「宇宙家族ロビンソン」の世界

2003/08/06 10:00
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 1960年代と1970年代はメインフレームの時代だった。1980年代はクライアント/サーバ・コンピュータ時代となり、1990年代にはインターネット時代が訪れた。そして2000年代のいま、電子執事の時代に突入しようとしている。

 研究者はこれまで、複雑な問題を解決してくれるコンピュータの開発を続けてきたが、いまでは人間に代わって問題を解決してくれるマシンを発明することに重点を置いている。DARPA(米国防総省高等研究計画局)が主催したDARPA Grand Challengeというコンテストを例にとってみよう。

 このコンテストでは、研究者は完全に自動化されたオフロード用ロボットカーの開発に挑戦する。このロボットカーは、ロサンジェルスからラスベガスまでの間を10時間で走行しなければならない。これは、ギャンブル好きなご老人方を詰め込んだグレイハウンドバスが同区間を走るのと同じ所要時間だ。コンテストの優勝者は、5セント硬貨の束2つと食事券の代わりに、賞金100万ドルを授与されることになっている。

 先月ACM(米計算機学会)がサンディエゴで開催したコンピュータグラフィックスの年次カンファレンス、Siggraphにおいても、参加した研究者らは自動化のことを考えていたようだ。

 欧州の大学では、コンソーシアムを結成してSmart-Its Projectに取り組んでいる。このプロジェクトは、日用品に装着するセンサーを開発し、人々の日常生活をサポートすることを目指している。あるアプリケーションは、テーブルや棚の上にいくつ物があるか、重さはどれくらいかといったことを察知する。また別のアプリケーションは、組み立て式本棚にインテリジェンスを組み込んで、間違った作り方をした際には警告を与えてくれる。

 このセンサー技術は現在、フィンランド、英国、ドイツ、スイス、スウェーデンの各大学で開発中だ。だが、家具そのものは現在市場に出ているものである。

 「家具はIkeaで購入した」というのは、英ランカスター大学のGerd Kortuemだ。「この技術は、すでにある物を動かすことができるのだ」(Kortuem)。

 この他にもSiggraphでは、ニューヨーク大学のグループが室内装飾アプリケーションのプロトタイプを展示していた。このアプリケーションは、光を放射するダイオード、モーター、位置検出器を家具に装着して複雑なネットワークを構成し、部屋にあるさまざまな家具をボタン操作で動かすものだ(現在これは模型の段階で、家具はわずか数インチの高さだが、Siggraphでは来場者の高い関心を集めていた)。

筑波大の「フードシミュレーター」とは?

 これだけではない。筑波大学の研究者は、さまざまな種類の食べ物の咀嚼に必要な作業を再現する「フードシミュレーター」を考案している。

 これまでのところ、同大学の研究者たちは、咀嚼補助が必要な人に対し、口に挿入する端末を2種類作成している。ひとつはクラッカーに必要な圧力をシミュレーションするもので、もうひとつは柔らかい野菜用だ(味付けのシミュレーションも登場する予定である)。Siggraphでは多くの人が列をなし、ブースターコードのような外観をしたこの端末を実際に口に入れて試していた。

 「味覚は、バーチャルリアリティにおける最後の未開拓領域だ」とプロジェクトリーダーの岩田洋夫教授は述べている。

 われわれは、そのような器具の助けが必要になるほど怠け者になってしまったのだろうか? 完全にそうとは言い切れない。これらの新しいマシンは、私が「外向型コンピューティング」と呼んでいる最新トレンドの一部なのだ。

 ワープロ、インターネット、電子メールなどはコミュニケーション業界に革命を引き起こした。だがその結果、世界中で携帯電話の呼び出し音や、スパムメール、ウイルスが氾濫している。調べものをするとなると、膨大な数のウェブサイトに埋もれてしまい、プライベートと仕事の境目がなくなるという事態も起こりつつある。

 ロボットと自動化技術は基本的に、日常生活から多くのリスクを取り除き、単調な骨の折れる仕事を排除してくれるものだ。ジャンクメールを整理し、家具を動かし、爆弾を積んだ車を戦場まで運転してくれるようなロボットが存在すれば、きっとみな購入するはずだ。

 外向型コンピューティングの動きは、バーチャルな世界とも共通点が多い。Googleは、自然なフレーズのクエリを使うことで、情報検索作業をずいぶん楽にしてくれた。また、Microsoftや他社の研究者は、電話やメールボックスに不必要な通信が入らないようにしつつ、緊急の通信が入ってきたときにはユーザーに通知するようなアプリケーションの開発に取り組んでいる。

 これらの動きは、すべておもしろいものだ。だからこそ、研究者はこの種の作業に引きつけられる。コンピュータは、それ自体ではおもしろくない。マイクロプロセッサやGUIを祝福する国際展覧会はかつて一度も開催されたことがないではないか。

 それとは対照的に、吊橋、超高層ビル、宇宙旅行は、華やかなファンファーレとともに発表されてきた。作家のジュール・ヴェルヌやルーブ・ゴールドバーグが描いたおかしな機械や人物ですら、いまだにポップカルチャーのシンボルとなっている。

 そして、もしかすると未来のコンピュータは、テレビ番組「宇宙家族ロビンソン」に出てきたロボットのように辛らつな冗談を言うようになるかもしれない。

筆者略歴
Michael Kanellos
CNET編集局員。注目される新ビジネスの動向を本コラムで定期的に執筆。ホットな技術を持った活きのいい会社に関する情報を随時募集中。現在、CNET News.comのエンタープライズやパーソナルテクノロジーでも健筆を振るう。

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