クリエイティブ・コモンズ---知のイノベーションを守るために - (page 3)

かみむら けいすけ2003年07月18日 08時00分

Some Rights Reserved――CCPLの四つの条件

 コンテンツは、他の人と積極的に共有されてこそ価値がある、というのがクリエイティブ・コモンズの思想だが、まったく無条件に共有されては困る場合もあるだろう。そこで、CCPLで著作物を公開するとき、著作者はいくつかの条件を設定できる。一律のライセンスを提供するのではなく、著作者の意向や著作物の性格にあわせて条件を組み合わせられることも、CCPLの大きな特徴だ。

 「All Rights Reserved」という言葉を目にすることがあるが、これは、私的利用目的以外でのコンテンツの再生、複製、頒布などに関するすべての権利を著作権者が留保することを意味している(つまり、著作権者の許諾なしに、公の場でコンテンツを利用することはできない)。一方、クリエイティブ・コモンズでは、「Some Rights Reserved」という言葉を使う。これは、著作者の名誉や作品の意図を守るため、いくつかの権利(Some Rights)は留保するが、それ以外の、コンテンツの自由な利用を妨げる権利はすべて放棄する、あるいは行使しないという意思表示だ。

 CCPLでは、著作者がコンテンツを公開するときに、「帰属表示(Attribution)」の条件、「非商用利用(Non-commercial)」の条件、「改変の禁止(No Derivative Works)」の条件、「共有条件の継承(Share Alike)」という四つの条件を設定することができる。この条件を視覚的に表したのが、以下の四つのマークだ。

 それでは、それぞれの条件はどのような意味をもつのだろうか。

  「帰属表示」の条件

 「帰属表示」の条件は、この条件が設定されたコンテンツを利用する場合、そのコンテンツが誰に帰属するのかを(多くの場合には、著作者を)を明記しなければならない、ということを意味する。他人が書いたり、作曲したりしたコンテンツを使うときには、必ず著作者へのクレジットを入れるという条件だ。逆に、帰属表示の条件がなければ、著作者へのクレジットは必要ない。

  「非商用利用」の条件

 「非商用利用」の条件は、この条件が設定されたコンテンツが、著作者の同意なしに商用目的に利用できない、ということを意味する。例えば、この条件が設定された楽曲のテープを販売したり、有料の演奏会を開くためには、著作者の同意を得ておかなければならない。もちろん、同意が常に得られるとは限らないし、同意が常に無償であるとも限らないが、断わりさえすれば誰でも無償で同意を得られるかもしれない。この辺りは、コンテンツの著作者次第だろう。

  「改変の禁止」の条件

 「改変の禁止」の条件が設定された場合、著作者の合意なしに、コンテンツを改変したり、派生作品を作成することはできない。自分の作品は完成の粋に達したと陶酔している人は(そこまでいかなくても、コンテンツを改変されたくないという事情や理由があるなら)、この条件を設定しておこう。

   「共有条件の継承」の条件

 「共有条件の継承」の条件は、「改変の禁止」の条件が設定されていない場合、つまり作品の改変が認められる場合だけに有効になる。この条件が設定されたコンテンツを改変して派生作品を創作した場合には、元にしたコンテンツが設定したのと同じ共有条件を継承しなければならない。非商用利用の条件が設定されたコンテンツを元にして作った派生作品には、元のコンテンツと同じように非商用利用の条件を設定する。例えば、「非商用利用」と「共有条件の継承」が設定されている写真を下敷きにして作ったモンタージュ作品には、元のコンテンツと同じように「非商用利用」と「共有条件の継承」を設定しなければならない。

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