字幕in株式会社はベンチャーキャピタルの出資を受けて設立した。とはいえ、それほど大きな額ではない。GMO-VPの出資額はわずか1万円。資本金は全体で50万円だ。
矢野氏はミニマムな金額でスタートする理由をこう語る。「そもそも会社化や字幕inの運営自体にそんなにお金がかかるわけでもないので、小規模な状態で会社を始めて、そこから今後大きくしていく感覚なんです。今回は字幕inという会社を作ったんですけど、今後ビジネス化できそうなサービスが出てきた場合も最初はミニマムで始めてそれを大きくしていく流れを作っていきたい。その第一弾としてとりあえず字幕inを作るという感じです」
グループ内にpaperboy&co.があることもGMO-VPからの出資を受けた理由だ。「それはかなり意識していました。家入さんはインターンとして入ってくれることになりました(笑)」。他にもファイナンス周りでのアドバイス、GMOグループが入居するセルリアンタワーの利用など、様々なサポートを受けられることとなった。
それでもプライオリティは個人の活動の方が大きい。ビジネスの席では字幕in株式会社という名前があったほうがスムーズに進むということもあって会社を作ったが、「僕はほとんど家にいます(笑)。会社では一応定例のミーティングはありますが、基本的には自宅とかその近辺で開発してますね」
個人としての創作活動はベンチャーの社長業よりも刺激的なようだ。起業の抱負を聞くと、「本来なら1億円儲けるとか答えるべきなんでしょうけど、僕としては本来やりたい個人の活動ができなくなってしまうと悲しいので、個人としての強みというか、フットワークが軽い状態というのを疎外してしまわないような状態でビジネスとして成功させていくことができればいいなと思ってます」
今回の起業は、いわゆる「ベンチャーキャピタルから出資を受けて会社を設立した事例」とは毛色が異なり、まだ1万円程度の金額しか動いていない。純粋にサービス開発を楽しむ若者が求めるのは、インターネットの先にある“人との出会い”だったりする。
「たぶん、お金に執着心があり過ぎるとあまりうまくいかない気がしていて、それよりも面白いサービスを作りたいっていう思いを大切にしたい。そう思い続けることで自然に関連したお話が展開していく。今回の字幕.inもそうですけど、このサービスをキーにしてすごくたくさんの方々、そして戸田奈津子さんにもお会いできた。QRコードのサービスを作ったときにはデンソーの方と知り合いになれたり、そういうことがたくさんあった」
「そのサイトを作ってお金に変えようというのではなくて、いろいろな人との広がりとか、展開があること自体を楽しみたいなって僕は思います。たぶんネットってそういうものじゃないかなと。たとえば『2ちゃんねる2』を作ったら、ひろゆきさんと繋がったんです。サイトを作るごとにその業界の人たちの近くに引き寄せられていって、出会うことができるってすごく楽しいことですよね。それが個人レベルでできることがインターネットの凄さなのかなという気がします」
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