常勝ヤフーとネットの未来のため--“井上社長×村井教授”が語る研究所の狙い - (page 2)

島田昇(編集部)2007年03月27日 12時57分

――Web 3.0以降というのはリップサービスですよね(笑)

井上氏 まあね(笑)。でも、Web 2.0で終わるってことはないでしょう。

――逆に「Web」というキーワードが付くのは最後で、今後はもっとリアルの世界に結びつく方向性に向かうと考えることもできますが。

井上氏 いや、技術の世界は2.0で終わるということはないですよ。確かに、おっしゃるように社会とのかかわりが深まっていくということはあると思いますが、一方で技術の部分に特化して考えれば、4.0も5.0もあるでしょうということです。

――村井氏は別の記者の質問に対し、「評価軸を設けずに自由な発想で研究に取り組んでもらいたい」との趣旨をおっしゃっていましたが、ポータルサイトとして思い切った発想で事業展開しづらいヤフーにおいて、それは難しいのではないですか。例えば、仮想モール事業では保守的な展開にとどまっている印象を受けるし、いまだに楽天を追い越せずにいます。

井上氏 ショッピングについてはやり方がヘタだということもある。ただ、現状ではヤフーに集まっている情報を活用しきれていないとは思っています。

――しかし、研究所からヤフーの情報を活用した思い切った提案をされた時、それをヤフーで展開することはできますか。

井上氏 1年に1〜2回程度、(研究者から)「僕はこういうことをやってみたい」という提案があったら、おそらく(その提案を稟議するための)委員会を作ると思うんですが、そこで認められればどんどんやっていけばいいと思っています。

――村井氏は今のWeb 2.0関連事業を展開する若い起業家などからの支持が高いです。研究所は3.0以降を見据えた取り組みと説明していますが、やはり2.0への取り組みの遅れを強く意識して、村井氏を最高技術顧問に迎えたように映ります。

井上氏:それもありますが、そこにとどまらず、村井さんはネットのことを幅広く考えてらっしゃる第一人者です。技術だけのことではなく、技術と社会の接点の問題などについてもね。

――「独自のサービスを作りたいがための研究所」という話がありましたが、一方でWeb 2.0関連企業への資本・業務提携を加速しています。

井上氏 そっちは事業部門がやっていることです。

――それについては社長として歯がゆいと感じているということですか。

井上氏 いや、僕はどっちでもいいと思っているんですよ。一番いいのは自分でやればいいのですが、それでは時間が無駄になるという欠点もあります。「Build(事業創出)、Buy(企業・事業買収)、Partner(提携)」という考え方で、新しい事業をやるときには3つのやり方がありますが、本当はその順番に優先順位は高いを思っています。

――Web 1.0の世界では自分たちで軸となるサービスを作り出し、ヤフーは圧倒的勝利を収めましたが、Web 2.0の世界では圧倒的勝利とは言えない状況です。しかし、おっしゃるWeb 3.0以降の世界というのがあるとしたら、再びWeb 1.0と同じような状況に持っていきたいということですか。

井上氏 いや、Web 2.0でもうちが最後には勝つと思っていますよ。ただ、それには時間がかかりそうなので、Web 3.0があるのであれば、最初から一番になりたいということです。後からなるんではなくてね。

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