最終更新時刻:2009年7月10日(金) 21時57分

米ネットギャンブル規制で波紋 英…売り上げ半減、株暴落

FujiSankei Business i.

2006/10/10 12:18  

 インターネット上でのポーカーやバカラなどの賭博を規制する新法が米議会で成立し、英国をはじめ欧州に拠点を置くネット賭博業界が悲鳴を上げている。主要企業の株価は先週、一時最大6割も暴落。最大の顧客だった米国からの収入減に対応し、アジアなどへの進出で生き残りを図ろうとする動きも活発化している。

■市場規模半減?

 新法は金融機関が口座振替などで賭博サイトとの資金決済を行うことなどを禁止する内容。英公共放送BBC(電子版)によると、今後、米国内からネット賭博会社への送金を行おうとする人の身元特定や送金差し止めのシステム導入を金融機関に義務づけ、規制の実効性を担保するとみられている。

 米国の新規制に頭を抱えているのが、英国などのネット賭博会社だ。

 英紙インディペンデントなどによると、ネット賭博の市場規模は120億ドル(約1兆4040億円)。このうち、米国人は2005年に60億ドルを投じたといわれ、規制により市場規模は半減する計算だ。

 米国からの売り上げが75%に上るネット賭博世界最大手の英パーティーゲーミングは、アジアや欧州市場に新形態のゲームを投入するとともに、撤退に追い込まれる中小の賭博会社の顧客を奪い、米国からの売り上げ減少に対応する考えだ。

 賭博サイト「888・com」を運営する英大手888ホールディングスは今後、賭博性を排除した「オンラインエンターテインメント」として、米国向けサイトを娯楽事業に切り替えることを検討している。

 ■英企業狙い打ち

 英賭博業界には、新法成立の背景に、賭博関連業界同士の熾烈な政治的駆け引きがあったとの見方もある。

 888ホールディングスのレビー最高執行責任者(COO)はBBCの取材に「新法がわれわれの米国での活動を標的にしたことは極めて明白だ」と語り、英国の賭博業界の締め出しを狙ったものとの見方を示した。

 インディペンデントは、新法成立の裏に、既存の米賭博業界の熱心なロビー活動があったと報じた。英国に流れた巨額の賭博マネーを呼び戻し、業界の売り上げ拡大をもくろんだものとみられる。同紙によると競馬業界は、法案成立に向け300万ドル(51億円)を献金。さらに競馬を規制の対象から除外してもらうため100万ドルを投じたという。

 ただし、ロビー活動を繰り広げたのは、競馬業界だけでなく、パーティーゲーミングが新法成立阻止をロビー活動専門企業に委託するなど、海外のネット賭博会社も注力。新法成立は「(ロビー活動の)結果論にすぎない」との冷めた見方も出ているという。

 新法がネット賭博業界に大打撃を与えるのは確実だが、被害を受けるのは英企業だけではない。400億ドル(4兆6800億円)に上る米国内の賭博産業でも、ネット事業のウエートは高い。

 このため、関係者の中には、今後、米国内の業界から規制緩和などを求める声が高まり、議会で揺り戻しの動きが起きるとの観測も出ている。

 国境を越えて成長する新興ギャンブル産業に対する規制は、なお手探りの段階。攻防はまだ続きそうだ。(滝川麻衣子)

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 ■酒場の夢大きく

 英国のパブ店内での賭博機の規制が緩和されることになり、パブ業界が「禁煙措置による売り上げ減をカバーできる」と大喜びしている。

 規制緩和の対象は、多くのパブに置かれているスロットマシン。英紙インディペンデントによると、まず月内に賭け金の上限が30ペンス(約67円)から50ペンス(約111円)に、さらに来春までに賞金額の上限が25ポンド(約5550円)から35ポンド(約7770円)にそれぞれ引き上げられる。

 レンタル制の賭博機の売り上げは平均7割がパブ側の取り分で、収入の大きな柱になっているが、英国では来夏からすべてのパブと職場が全面禁煙になるため、賭博機の利用者が減ると心配されている。先行して禁煙となったスコットランドのパブでは賭博機売り上げが7%落ちた。

 同紙によると、アナリストは規制緩和によって売り上げが約1割増えるとみており、パブ業界は「天の恵み」と英政府に感謝しているという。

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【用語解説】インターネット賭博禁止法

 未成年の賭博や個人破産の防止などを狙いに、ネット上のポーカーやルーレットなどの賭博を規制する。ネット接続事業者、銀行、クレジットカード会社を対象に資金の流れを止める内容。ブッシュ大統領の署名を経て近く施行される。旧来法でもネット上の賭博はすべて禁止されていたとの解釈もあるが、市場拡大に対応し、新法で改めて明文化した。

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