NECは6月5日、ハイビジョン並みに高品質なインターネット放送サービスを低コストかつ高信頼に実現可能なマルチキャスト通信方式を開発したと発表した。
現在の映像配信で主流のビデオオンデマンド型サービスは、1対1通信であるユニキャスト通信を用いており、視聴者数が増加するとサーバーやネットワークへの負荷および管理コストが爆発的に高くなるため、低コストで多くの視聴者に映像配信を行う放送型サービスでは、1対多通信となるマルチキャスト通信の適用が検討されていた。
マルチキャスト通信では、配信経路中のパケット欠損が多数の受信者に影響を与えるため、通常使用するパスとは別にバックアップ用のパスを用意し、それぞれに同一のパケットを送信する配信パスの冗長化が必要となる。しかし、従来のマルチキャスト通信では、配信パスの冗長化によりコピーされたパケットと、配信パスの障害で発生した不要なパケットを区別できず、配信パスの冗長化が困難だったため、ネットワークの品質劣化や障害が映像再生に致命的な影響を与えるという課題があった。
今回の開発は、従来困難であったマルチキャスト通信における高信頼なデータ配信を、「配信パスの冗長化」「マルチキャスト品質測定」「無瞬断切替」の3つの新技術によって実現するものだ。
配信パスの冗長化技術は、配信される映像パケットを識別し、各転送装置で二重に転送されたパケットを効果的に廃棄する技術。これにより、配信パスの障害などに端を発するループパスが引き起こす映像パケットの無限コピーを防ぎながら、配信パスの冗長経路を構成することが可能となり、パケット欠損に伴う映像再生への影響を最小化できる。
マルチキャスト品質測定技術は、配信ツリーの各地点に配置された測定装置で受信した同一パケットのトラフィック情報を照合することにより、既設のマルチキャストネットワークに変更を加えず、測定装置を追加導入するだけで、配信ツリー全体に対する配信品質を効果的に測定できる。
無瞬断切替技術は、配信パス上の品質劣化を検出した場合に、映像再生への影響を排除しながら所定の品質を満たす新しい配信パスへ切り替える方式で、品質が劣化した配信パスと新しい配信パスとの間で通信を引き継ぐ、パケットレベルの同期処理を行うことで、無瞬断で配信パスを切り替えることができる。
今回開発した通信制御方式により、大容量コンテンツの配信に耐え得るマルチキャスト通信が可能となり、インターネット上でハイビジョン並みの高品質な放送サービスが実現できるようになるとしている。
なお、NECは、本技術を6月7日から9日まで幕張メッセで開催される「Interop Tokyo 2006」に出展する。
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