アップルvsブロガー裁判--電子記録召還を求めるアップルに厳しい審問

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:河部恭紀(編集部)2006年04月21日 13時42分

 カリフォルニア州サンノゼ発--Apple Computerは米国時間4月20日、流出した未発表製品の詳細を公表したMacファンサイトの電子記録入手を求めるにあたって厳しい質問を受けた。

 下級裁判所は2005年、Appleにファンサイトの電子記録入手を認めたが、これに対し、カリフォルニア州控訴裁判所第6部の3人の判事はAppleの弁護士に対して次々と質問を浴びせた。判事らが知りたかったのは、争点となっている情報が本物の業務機密なのかどうか、そして、ジャーナリストの情報源を保護する権利がAppleの業務機密を守る権利に勝るのかどうかだった。

 Conrad Rushing裁判長はAppleの弁護士に対し、「これは本当に新しい技術だと主張できるものなのか。コンピュータにギターを接続するだけではないか」と尋ねた。

 Appleの代理人を務める社外弁護士のGeorge Riley氏は、「Asteroid」という開発コード名の製品は、コンピュータにギターを接続するための音楽用ブレイクアウトボックスで、その詳細と図は「かなり深刻な窃盗」に相当する、というのが同社の主張だと答えた。

 同裁判所がいつ判断を下すことになるのかは明確になっていない。

 20日の裁判では、ネットで活躍するジャーナリストに従来のジャーナリストと同じ権利を与えるのかどうかが議論された。Appleは以前提出した裁判書類のなかで、そうすべきではないと主張していた。同社弁護士は裁判書類のなかで、近い将来登場する製品に関して自社が機密にしておきたいと考える詳細を明らかにしてしまうようでは、ウェブを活動の場とする人々は「報道の正当なメンバー」とは言えない、と述べている。

 この主張は、ブロガーや一般ジャーナリストの猛反発を招いた。しかし同社は、サンタクララ郡高等裁判所のJames P. Kleinberg判事を納得させることは十分できたようで、同判事は2005年3月、Appleが求めるAppleニュースサイトの電子記録の召喚手続きを認めた

 Apple裁判は、ブロガーの権利だけにとどまらない可能性がある。同裁判所が20日に行った主張の大半や、下級裁判所の判決は、ジャーナリストの情報源を保護する権利が企業の業務機密を守る権利に勝るのかどうかをてんびんにかけるものだった。

 Appleから訴えられたニュースサイト「PowerPage.org」の代理人を務める電子フロンティア財団(EFF)では、控訴裁判所による召喚手続きの却下に期待している。この召喚状が出されれば、「Asteroid」で呼ばれていたGarageBand用の FireWireオーディオインターフェースに関わる情報を流出させた人物が特定できてしまう。

 Appleは、2004年後半に起こしたこの訴訟で、Mac関連のニュースサイトを直接訴える代わりに、姓名不詳の被告に狙いを絞っている。この召喚状は、PowerPageの電子メールプロバイダーであるNfox.comに送付されたが、Nfox.comでは裁判の結果召喚が認められれば、それに従うとしている。

 Appleは、別の裁判では「Think Secret」というファンサイトを直接訴えている。同サイトの運営者が、Appleの内部情報を入手しようとして、同社の業務機密保持に関する権利を侵害したとAppleは主張している。

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