英国政府、ECのテレビ指令改正案に反発--ネットへの影響を懸念

文:Graeme Wearden(Special to CNET News.com)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年01月31日 21時25分

 英国政府が、欧州におけるテレビの規制方法を改正しようとする欧州委員会(EC)の試みに抵抗している。ECの改正案に対しては、インターネット上のコンテンツの規制につながるのではとの懸念の声が上がっている。

 英国の放送相James Purnellは今週、欧州の多数の国々に「国境なきテレビ(Television Without Frontiers)」指令の改正案に反対するよう働きかける予定だ。

 この指令は、欧州の全てのテレビサービスを対象としているが、1989年の導入時にはウェブについての言及はなかった。しかし、その後のブロードバンドブームに乗り、メディア企業がインターネット上でのテレビやビデオの配信サービスに乗り出していることから、ECは同指令を現在の状況を反映した内容に改正するよう提案した。

 ECは、インターネット上あるいは携帯電話向けのテレビサービスには、未成年者の保護、人種的憎悪を刺激する放送の回避、違法広告の追放の3点を目指す「最小限の基本原則」のみを適用するよう提案した。

 しかしPurnellは、英国政府はECの動きに反対すると述べ、代わりに、各国の自主規制に委ねている現行システムの継続を支持した。

 ロンドンのSunday Telegraphの記事によると、Purnellは先週、次のように語ったという。「(ECの案は)消費者の利益にならず、正当性を欠く。(指令の)適用範囲の拡大により、インターネットが大幅に規制されるとともに、新たなメディアサービスの成長が抑制される恐れがある。そうなれば、サービス価格の上昇を招き、さらに将来は、新サービスを利用する機会が消費者から奪われることになる」

 英国の文化・メディア・スポーツ相Tessa Jowellは1月に入り、Oxford Media Conventionに対し、「(ECの現在の提案は)全体として・・・まだ許容できない」と語った。

 今週後半にEU加盟国がECの草案について議論する予定だ。

 またSunday Telegraphは、Googleが先頭に立って指令改正に反対する計画だ、とも報じたが、Googleの関係者は30日にその記事の内容を否定し、同社はあくまで関係する企業の1社に過ぎないと語った。

 ECの案が論議を呼んでいるのは、インターネット規制という微妙な問題に触れているためだ。英国には、通信・放送等の規制・監督を行うOfcomという機関が存在するが、インターネットはOfcomの管轄外だ。しかし、同機関は(インターネット上の)放送規制を実施する上で重要な役割を果たしている。放送規制の具体例として、同国では午後9時を放送時間の分岐点とし、9時以前のアダルトコンテンツの放送を禁止している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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