Apple Corpsは1年前にApple Computerを提訴したが、これに先立つ10年前に、Apple Computer側はApple Corpsに対し、最初の商標訴訟の和解金として、2600万ドル以上を支払ったことがあった。この和解には、両者それぞれによるAppleの名称の使い方に関する申し合わせも含まれていた。iTunesのリリースはその同意内容に違反するものだ、とApple Corpsは主張している。
1991年の和解契約を引用した、先ごろの裁判所の判断によると、Beatles側は「Apple」の名称を、保有曲が関連する場合と、「音楽を主なコンテンツとする既存および将来の創作作品」に対して利用する権利があるという。しかし、Apple Computerにも、CDなどの物理メディアでない限り、「当該コンテンツを複写、再現、再生あるいは配布する商品やサービス」で同ブランドを利用する権利が与えられている。
Appleが和解と、Beatlesの楽曲をiTunesで取り扱うための交渉を一緒にするのは、Beatlesファンを公言するJobsにとって自然なやり方だと見られている。JobsはApple製品をデモする際に同バンドの曲を流すことでも有名で、同社は2001年にiPodがデビューしたとき、これにBeatlesのCDから抜粋した2曲を収めて報道陣に配布している。
今回の商標権訴訟の和解交渉が、金銭面の問題で行き詰まる可能性がある。
オンライン音楽業界の情報筋によると、Beatlesの代理人は、同バンドの曲に対する一定期間の独占利用権に関して一部のデジタル音楽企業と交渉してきたという。DVDやビデオ、そしてインタビューなどとともにダウンロード曲も揃えた同バンドのオンラインミニストアを開店するというアイデアも出ていた。
AppleはiTunesと別立てのウェブべースの店舗は持っていないものの、Disneyの作品に関しては、それを扱う専用コーナーをiTunes音楽ストアのなかに設けている。業界関係者のなかには、もしBeatlesが「特別待遇」を求めるのであれば、Appleは同様に専用コーナーをつくることもできるという者もいる。また、Apple ComputerはまだビデオやDVDの取り扱いを始めていないが、Audibleと提携しインタビューのような会話をコンテンツにして提供している。 しかしながら、オンライン音楽業界各社との事前交渉はまだあまり進んでいない。Microsoftを筆頭に、各社は最大で2500万ドルにのぼるBeatles関連の契約料が高すぎるとしている。Apple Corpsへの支払いが1500万ドルだとしても、これをすぐに回収することはオンライン音楽業界各社にとってたいへんなことだろう。通常99セントで売られる曲のうち75セントは関連する音楽レーベルや(楽曲の)出版会社の懐に入る。そして普通は15セント近い金額が経費にかかるため、同業界の取り分はよくても1曲につき約10セントに留まっている。
たとえば、1500万ドルを回収するには1億5000万曲を販売する必要がある。仮にこの和解契約がまとまって、大きな宣伝効果を発揮したとしても、この金額を回収するというのは実に厳しいゴールだ。
しかし、当然ながら、この話がまとまるかどうかは、JobsがどれほどBeatlesファンであるかにかかっている。
「実際にJobsの存在は、この訴訟の和解を左右する大きな要因かもしれない」とBrombergは語ったが、ただしJobsは自分の好みに振り回されてはいけないと注意を促している。「Jobsがあまりに熱心な姿勢を見せすぎると、損害を被ることになりかねない」(Bromberg)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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