「ユーザー体験をよりリッチなものに」:マクロメディアの新マルチメディアオーサリングツール

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年02月19日 22時04分

 「デジタル時代に変革が起こっている。デジタルの世界はいまや現実の世界と同程度の意味を持ち、人々もデジタルの世界で現実と同じようなものを期待している」。米Macromediaのエグゼクティブバイスプレジデント、ケビン・リンチ氏は19日、同社主催のイベントMacromedia MAX 2004 Japanにて基調講演を行い、デジタル時代変革の幕開けを宣言した。

 リンチ氏は、Starbucks Coffeeの創業者、ハワード・シュルツ氏の言葉を引き合いに出し、「シュルツ氏は企業経営における重要事項として“顧客の体験”、“優秀な従業員”、“キャッシュフロー”をあげ、なかでも一番重要なのは顧客の体験だと述べている。マクロメディアの使命は、デジタルの世界で顧客にすばらしい体験を与えることだ」と語った。

Macromedia エグゼクティブバイスプレジデント、ケビン・リンチ氏

 リンチ氏がデジタル時代の変革だと述べたのは、コンピュータにおけるユーザー体験の方法が徐々に変化してきたことにある。同氏は、ユーザー体験の始まりはメインフレーム時代だとし、「この時代はインターフェースもテキストベースで、ネットワークにもつながっておらず、非常に限られた環境でのみ利用されていた」と述べる。その後クライアント/サーバ時代が到来し、アプリケーションはリッチになる。だがその時代にも、企業の内部やワークステーションレベルでの利用が主で、世界的なネットワークは存在しなかった。その後のインターネットの登場で、ネットワークは世界中に広がることになる。しかし初期のインターネットでは、コンテンツのほとんどがテキストベースで、メインフレーム時代に逆戻りしてしまった格好だ。それがブロードバンドの普及でインフラが整い、さらにアプリケーションの開発環境も整ったことから、「やっとグローバルなネットワークで世界中にリッチなコンテンツを提供できる環境が整い、ユーザー体験もより充実したものになった」とリンチ氏はいう。

 デジタルの世界で充実したユーザー体験を提供するという使命を背負ったマクロメディアは、長年にわたってマルチメディア開発ツールを提供してきた。リンチ氏によると、同社は20年前にMacromedia Directorの前身となるVideoWorksの提供を開始した。「約7割のCD-ROMコンテンツが同ツールを使って開発されるようになった。そしてインターネットが普及しはじめると、CDのみならずウェブコンテンツの開発にも使われるようになった。いまではインターネットユーザーの60%がShockwaveを介してDirectorで作られたコンテンツを利用している。このツールには長年の歴史がある」とリンチ氏。

 マクロメディアは同日、Directorの最新版であるMacromedia Director MX 2004を発表している。リンチ氏によると、3月19日より出荷開始される同ツールはFlash MX 2004をサポートしており、Flashコンポーネントを直接統合することもできるという。JavaScriptも標準でサポート、さらにDVDビデオもサポートしている。

 リンチ氏は、「Directorの市場として、日本は世界最大でもある。ブロードバンド環境が整うことで、新たなリッチコンテンツが生まれる可能性も広がる。日本では常にイノベーションが起こり続けている。今後もマクロメディアはコンテンツクリエーターと協力し、すばらしいユーザー体験を与えていきたい」と語った。

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