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「必要なのは、担当者の人間力」--UCC上島珈琲がTwitterのPR活動で得た教訓
「つぶやきを1個1個聞きながら、ていねいにお客様とコミュニケーションとするものであって、担当者の人間力が必要だということを実感している」──そう心境を語るのは、Twitterを使用したPR活動で批判を受けたUCC上島珈琲のグループEC推進室 室長 坂本晃一氏だ。
UCC上島珈琲は2月5日、「コーヒー」「懸賞」などのキーワードが入ったTweet(つぶやき)を機械により判定し、「bot」と呼ばれるプログラムによってユーザーに向けて「コーヒーにまつわるエッセイとアートを募集中!エッセイで賞金200 万円!アートで賞金100 万円!締切間近!!」という文言と「Good Coffee Smileキャンペーン」のURLをTweet。それがスパム行為とされ、Twitterアカウントの停止処分を受けたほか、ユーザーからも大きな批判の声が寄せられた。
Good Coffee Smileキャンペーンは1999年から続くもので、2008年は約7000通の応募があるなど好評という。11回目を迎える今年は、新たにアート部門を新設。2009年12月から新聞や雑誌などのマスメディアを通じて広告を展開していたが、さらなる認知拡大に向けて採用したのがTwitterというわけだ。
「コミュニケーションツールを使うことで、われわれのユーザー層以外にもリーチできるのではないかと企画した。外部からも案をいただきながら進めてきた」(坂本氏)
536人にPRメッセージを送りアカウント停止へ
2009年12月の時点ではTwitterの企画は考えておらず、比較的短期間でまとめたものだったという。人を立てて行う方法もあったはずだが、UCCはなぜbotを採用したのだろうか。
「botでプッシュ型のマーケティングはどうかという話があり、キャンペーンの応募も多いので、人力ではなく安易に機械化してしまった」と坂本氏は反省点を語る。
UCCによれば、問題のbotアカウントは11個用意。「コーヒー」「懸賞」「アート」「UCC」など30のキーワードのいずれかをつぶやいた人に向けて、キャンペーンのPRメッセージを送るように設定していたという。
「botによってキーワード設定が違った。スパム認定されたから次を作って──というわけではなく、最初からアカウントは用意したもの。少しずつやろうとしていたが、一気にドンと出てしまった。最終的に送信したのは536件。同じ人にダブって送ったことはなく、536人に送った。結果、11あるアカウントのうち3つが強制的に止められた」と明かした。
広告の責任はUCCにある
botのAPIは内製ではなく、外部のベンダーを起用して作ったものという。また、UCC上島珈琲は大手の老舗企業という背景から、ネット上ではUCCの単独ではなく、企画を提案した会社があるはずとして、大手インターネット広告代理店の名前が話題となっていた。
「今出ている名前の会社ではない。そういう大手の代理店さんではない。Twitterを使おうとしたのはUCCで、広告の責任はUCCにある」と改めて自社の責任であることを強調した。
また、「当然広告主である私たちの責任なのに、どこかの代理店の名前が祭り上げられているということについて葛藤があった。土曜日の深夜に近かったが、代理店を使っていないことを発表をしようか。なにか方法はないか考えた」と語る。
その結果が、同社のグループ企業で上島珈琲店や珈琲館を運営するユーシーシーフードサービスシステムズの公式アカウント「上島珈琲店なう(@ueshimacoffee)」での深夜のTweetだった。
UCC上島珈琲は2月7日午前1時4分に、こう綴っている。
UCC上島珈琲株式会社のキャンペーンの件でお騒がせしております。申し訳ございません。我々の未熟さから皆様にご迷惑をおかけし、現在グループ社内で自分達の失敗について議論しており、週明けにはご説明の機会をいただくかと思います今しばらく推移を見守って頂ければ有り難く思います(原文ママ)
具体的な代理店の名前を挙げて否定するものではなかったが、「意図しない犯人捜しが始まったので、上島珈琲店でなんらかのことをお伝えしたかった」(坂本氏)とし、自社の責任であることを明言したかったと話した。
一方で、深夜の公式アカウントからのTweetに、「こんな時間につぶやくのか」と驚きの声も寄せられた。
「UCC上島珈琲株式会社自体はアカウントが停止されているので、新しいアカウントを使ってTweetするということはダメだろうと。唯一公式でグループ会社のアカウントからTweetをさせていただく、という決断を夜の11時ぐらいに悩みに悩んでした」(坂本氏)
上島珈琲店なうは、2009年12月18日からTwitterを開始。スタッフ自らがTweetに対応しており、Twitterユーザーといい関係を築いていたにもかかわらず、「グループ内で情報共有ができていなかった」と悔やんだ。
今回、botの公開から停止までの時間や同日午後の謝罪文の掲載など、UCC側の対応は早かったと見る向きが多い。同社の対応が早さと真摯な姿勢が多くのユーザーから支持され、状況は落ち着いてきている。
「興味本位の人も多いと思う」(坂本氏)としながらも、上島珈琲店なうのフォローワーは問題が起きる前の1100人程度からおよそ2200人へと前の倍近くまで増えた。
必要なのは、担当者の人間力
今回のことを踏まえて坂本氏は、「正直Twitterのユーザーの特性をあまり理解せず実行してしまった。Twitterを利用するにあたり、ユーザーがどんな反応をするのか細かく見ながら最初は人力で試すべきだったのだが、机上の想像だけで企画して、反応を見ることをせずに一気に機械化してしまった。つぶやきを1個1個聞きながら、丁寧にお客様とコミュニケーションするものであって、担当者の人間力が必要だということを痛感している」と教訓を語る。
UCC上島珈琲は、これまでバナーなどの広告出稿はあるが、ソーシャルメディアでのPRの経験はなかったという。
「まず、新聞、雑誌、テレビ、マスメディアとソーシャルメディアの違いが非常によくわかった。(ソーシャルメディアは)使い方について非常に慎重にやらないとダメ、ということがポイント。ソーシャルメディアマーケティングの重さ、使い方の難しさを私自身がすべて対応して思い知らされた」と数日間を振り返った。
一方で「厳しい声もあるが、『許してあげろよ』という温かい言葉や応援のメッセージを泣きながら見ていた。ありがたくて、こういうのが皆さんとのコミュニケーションなんだろうなと体験できた」と心境を語る。
「UCCが、Twitterのプラットフォームの可能性に水を差してしまったんじゃないかということが気掛かり。これらが忘れ去られることのないように、ストックとして、広く使っていただきたいと思っている。近々、ソーシャルメディアマーケティングの勉強会をきちんと開いて、外部からも講師をお呼びして、教訓を糧にしたい」とし、これらの勉強会の内容は公開する方針という。
「グループ内で片や人力で、片や機械でつぶやいた。不思議なことに、同じグループ内でよい例と悪い例と2つ持っている。よい例としては、上島コーヒー店はどういう風にフォローワーが増えていったのかなど、例を対比させて、専門家と話をしながら分析したい」としている。
UCC上島珈琲では、自社内で反省会をした後、どういう形でチャレンジするかを改めて発表する考えだ。
「厳しいご意見をいただいているが、UCCとしてはソーシャルマーケティングから手を引くのではなく、これに懲りずもう一度チャレンジしていきたい。個人的には温かく迎えていただきたいが、こういう事故を起こしたので厳しい目でご意見をいただければと思っている」として、今後もTwitterを活用していく考えを示した。
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