国会図書館、書籍をネット配信へ--利用料は1冊数百円程度に - (page 2)

永井美智子(編集部)2009年08月21日 17時56分

出版社は「ファンクラブ」になるべき

 津田氏はライターとして音楽業界も取材している立場から、デジタル化による出版業界と音楽業界の影響の違いについて語った。津田氏によると、本とCDでは原価率や物理的な存在価値で大きな違いがあると語る。

 書籍は紙代や印刷代が価格の30〜50%を占めているが、CDの場合製造コストは3000円のうち60円程度だといい、「いくらヒットしても本とCDでは利益率が違う」(津田氏)とのこと。一方で、CDとデジタルコピーでは音質の差があまりないのに対し、本の場合は画面で文字を見ると本に比べて読みにくいという点や、1ページずつコピーするのに膨大な労力がかかる点など、「コピーへの耐性があり、本とコンテンツが一体化している強みがある」(津田氏)とした。

 ただ、デジタル化によって出版社のビジネスモデルが崩れてくると、存在意義の見直しを迫られるとも語る。津田氏が考える出版社の役割とは、読者と執筆者をつなぐファンクラブのような「情報中間業」だ。読者が興味を持っている著者の今後の活動や、著者のおすすめ、読者が興味を持ちそうなイベント情報などを伝えることが求められてくるだろうとした。

 橋本氏はブロガーとして活躍する立場から、「著者の印税を9割にして欲しい」と訴えた。現在、印税は書籍代の8〜10%というのが一般的だが、「これでは1冊書いても収入は100万円以下。もし9割が印税なら、年1冊の発行で暮らしていける」(橋本氏)というのだ。インターネットであらかじめ情報を発信して読者を集め、直販で売るようなモデルを導入すれば、印税を多くすることは可能なのではないかとした。

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