グーグル、「Chrome」のエクステンション対応計画を正式発表

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:湯木進悟2008年12月02日 07時40分

 Googleは、オープンソースのウェブブラウザ「Chrome」に、大幅なカスタマイズを可能にする、最もリクエストが多かった、エクステンションへの対応機能を組み込む計画であることを明らかにした。

 その計画には、驚くべき側面もある。Googleの事業はかなりの程度、広告に依存しているのだが、同社がエクステンションの一例に挙げた中には広告をブロックする機能を備えたものまで含まれていたのである。

 GoogleのプログラマーであるAaron Boodmans氏が、米国時間11月29日に発表したChromeのエクステンションに関するドキュメントには、提供時期などを示すスケジュールは明示されていないものの、Chromeを開発するオープンソースプロジェクトの「Chromium」にとって、なぜエクステンションへの対応が非常に重要であるのかが明らかにされている。

 同ドキュメントには「現在のところChromiumは、すべての人々の期待に応えるものとはなっていない。だが、ユーザーが作成するエクステンションへの対応で、次のような問題点が解決することになると指摘されてきた。それは、特定の限定された用途にのみ訴えるものとなる新機能の追加や、そのほかのブラウザからの移行ユーザーでもはや切り離して使うことができない特定のエクステンションがあるというユーザーへの対応バンドル内容に特化した機能をChromiumに追加したいと考えているバンドル販売提携パートナーのリクエストに応じられることなどである」と記されている。

 Googleは、3カ月前にChromeをリリースした際に、エクステンションAPIの提供を約束した。エクステンションは、Chromeの最大の競合相手となるMozillaの「Firefox」で人気のある機能であり、その中でも特に人気のあるエクステンションの1つに、広告をブロックする「AdBlock Plus」が挙げられる。

 最終的にGoogleは、以下のような特徴を、エクステンションでサポートしていく方針をリストアップしており、AdBlockも、その中に間違いなく含まれている。

  • 「Delicious Toolbar」や「StumbleUpon」、ウェブベースの履歴、新しいタブページのクリップボードアクセラレータなどの、ブックマーキングまたはナビゲーションツール
  • クリック対応の電話番号などを表示する「Skype」のエクステンション、動画の保存機能を搭載した「RealPlayer」のエクステンション、住所や電話番号を始めとする、ノーブランドのマイクロフォーマットデータを提供する「Autolink」など、コンテンツを強化する機能
  • 「AdBlock」「Flashblock」、プライバシーコントロール、ペアレンタルコントロール機能による、コンテンツのフィルタリング
  • 動画のダウンロードサポート、ダウンロードの高速化、「DownThemAll」「FlashGot」などの、ダウンロードヘルパー機能
  • 「ForecastFox」「FoxyTunes」「Web Of Trust」「GooglePreview」「BugMeNot」などによる、新機能の追加

 エクステンションの需要は、実際に存在する。

 Chromeを使わない理由について、米CNET Newsが非公式に実施した、ある世論調査において、約19%の回答者は、エクステンションがサポートされていないことを理由に挙げている。また、Chromiumに関する問題を扱ったサイト上でも、Chromeのエクステンション対応は、最も大きなリクエスト事項にアップされている。

 FirefoxユーザーであるOle Eichhorn氏は、「あらゆるFirefoxのプラグインの中でも、エクステンションは、非常に重要度が高いものである。たとえば、確かにChromeは高速だが、それも数多くの広告をダウンロード表示してしまうことに気づくまでの話であり、もしこれをブロックできなければ、もはやそれほど高速ではないことを意味してしまう。ChromeがAdBlockをサポートする時こそ、Chromeは最高のブラウザとなり得るが、それまでの間は、Firefoxこそ、最善の選択肢である」と語った。

 Googleは、新たに提供したドキュメントの中で、Chromeのエクステンションが目指している点なども詳説している。Chromeと同様に、エクステンションの更新は、ユーザーが気づかないうちに、バックグラウンドでなされることになる。セキュリティ上の理由から、エクステンションは独立した存在となり、使用が許可されたリソースにのみ、アクセス可能となる。インストールは、2クリックのみで完了する、簡単なものでなければならない。

 リッチなユーザーインターフェースオプションが許可されている必要があり、Googleによれば、Chromeの一部をエクステンションとして実行可能にするほどの対応力も求められている。インターフェースオプションの中には、「ツールバー、サイドバー、(カスタマイズツール「Greasemonkey」のような機能を搭載する)コンテンツスクリプト、(ペアレンタルフィルター、マルウェアフィルター、AdBlockのような機能などを実装する)コンテンツフィルタリング」が含まれていなければならないと、Googleは説明している。いくつかのインターフェースは、「履歴のデータベースへのアクセス」や「Gmailへのアクセス」など、ユーザー側で特定のアクションを許可することが求められるとも、Googleは述べている。

 Googleは、アップデートの提供や、ブラウザが利用を許可しない、「悪意のある、有害なエクステンション」のブラックリストの管理など、中央集約型のサービスを行うことにより、エクステンションでも主要な役割を果たすことになりそうだ。

 「将来的には、最も人気があり、最高のクオリティおよび信頼性を誇るエクステンションを、ユーザーがより手軽に検索可能な、コンシューマー向けのフロントエンドの提供も実現したいと考えている」とも、Googleは語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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