「JUKING AIR」はマッシュアップ的発想のジュークボックス風アプリ。キーワード検索機能では、Last.fmのAPIから人気の高い順に結果を表示し、個々の曲をYouTubeから読み込んで再生する。
この作品の特徴であるマップ検索機能は、関連する項目を3Dの「地図」で表現するというもの。音楽的に関連性の高いアーティスト名同士が近くにマッピングされ、Last.fmで付けられたタグが表示される。2次元画面上の位置関係はアーティストやタグの関連性を反映し、3次元方向では人気度を現している。この地図をズームすると、より詳細な分類が表示され、クリックすると音楽が再生される。
この作品は、同氏が大学で研究していたマッピングのアルゴリズムをタグに応用したものがベースになっているという。インタラクションが求められるマップのインタフェースはFlexで実装した。
ツールとして使用したFlex Builderは、コンパイルチェクやデザインチェックができることに加え、「『発生をチェック』で参照元をチェックできるのが非常に便利」(同氏)だという。
審査員は「通常の検索では目的のものから広がりにくいが、マップだと『なんとなくこのへん』という探し方ができる」とマップ化技術を評価。お気に入り機能の追加など、ツールとしてのさらなるブラッシュアップに期待を示した。
Flash賞を受賞したのは、新しいコミュニケーションツールを目指して開発された「AIR train」。このツールを利用すると他のユーザーにコメントを送信することができるのだが、掲示板というよりも回覧板をイメージするとわかりやすい。
ユーザーが立てたスレッドは電車の形で自分の「駅」を出発し、他のユーザーのディスプレイを回っていく。電車は行く先々で書き込まれたコメントを載せ、設定された時間に帰ってくるというしくみだ。スレッドを立てると自分の車体を所有でき、16種類の車体に好きなテクスチャ(jpg、png対応)を貼り付けられる。スレッドとは関係なくランダムに現れる列車もあり、「ただ眺めるだけの癒し系グッズとしてもオススメ」(同社の佐久間氏)だという。
開発環境は、デザインにIllustratorとPhotoshop、オーサリングにFlash。サーバとのリアルタイム通信があるのでPHPでアプリケーションを作成した。その際に利用したエディタがDreamweaverだという。
佐久間氏は「日常使い慣れているツールを、そのままアプリ開発に移行できるのがAIRの最大の魅力」だと述べた。
Flashの作品は多くの応募があったが、AIR trainは「ネットワークをうまく使って新しいコミュニケーションを提供している」点が評価され、受賞に至った。ビジュアル面やデスクトップアプリケーションとしての動きなども、ユーモアを織り交ぜながら丁寧な作り込みが行われている。
最後に審査員長を務めたワンパクの代表取締役 阿部淳也氏より、今回のコンテストについての総括が述べられた。応募86作品の中には、本日発表されたもの以外にも、アイデア、技術、熱意の伝わるものが多数あったが、受賞作との差として以下の3点を挙げている。
1つは「使う人や利用シーンを想定し、コンセプトが固まっていること」。2つめは「『AIRならでは』の部分を出せているもの」。最後に「時間的な制約」。
今回受賞した作品はある程度の制作期間を取っていたものが多かった。また、チームとしてデベロッパーやデザイナーが協業しあって制作していくことが重要だと、実感を込めて述べてもいた。
阿部氏は「AIRで何ができるのか」についてよく質問されるという。これについて、「ここにいる人たちが何かを創ることで、それに負けない何かを創る人が出てくる。その循環が答えに繋がっていく」と語り、その意気込みでまた来年のコンテストに良いものを創ってきていただきたい、と次回への期待を示した。
受賞作品の一部はアドビのウェブサイト「ADOBE AIR コンテスト2008受賞作品」を経由してダウンロード可能だ。
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