BitTorrentと利用企業、Comcastを反競争的と非難--トラフィック制限問題 - (page 2)

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2008年02月15日 11時37分

電子的な軍備競争

 Comcast対BitTorrentの争いは、急速に電子的な軍備拡大競争の域へと達しつつある。制限回避策の1つとしては、個々のインターネットプロトコルデータグラムを暗号化して、BitTorrentが用いられていることをネットワークプロバイダに悟られることさえないようにする手法がある。

 VuzeのMonahan氏は「われわれのほうが、暗号化などの操作を行うことによって(制限を)回避し、深刻な影響を受けるのを避けることに成功してきた」と述べている。しかしながら、「われわれや同分野の仲間が、いつまでもこれに成功するかに関しては、私には自信がない」とも、Monahan氏は付け加えた。

 ComcastのFitzmaurice氏は、この件が軍備競争の様相を呈するようになってきた一因として、同社側が、どのようにしてBitTorrentのストリームを探知し、制限するのかに関して、公式には多くの詳細な点を明らかにしてこなかった点にあると認めている。Fitzmaurice氏は、「ネットワークを管理する方法に関しては、絶えず新たな手法が発見されている」と語った。

 BitTorrentに基づく別のアプリケーションとなるMiroでは、RSSフィードをベースにして、チャンネルから自動的に動画をダウンロードするサービスが提供されている。以前は「Democracy Player」との名称が付されていたMiroには、Mac OS X、Linux、Windowsクライアントがある。

 Miroの背後にあるParticipatory Culture Foundation(PCF)の共同創設者であるNicholas Reville氏は14日、次のように語った。「われわれが確認しているISPからのフィルタリングによって、われわれのユーザーはダイレクトに影響を被っている。(中略)ネットの中立性に関する強力な法律が絶対に必要である」

 BitTorrentと、BitTorrentのプロトコルに頼る新興企業による陣営は、この点を繰り返し指摘してきた。同陣営は、Ed Markey下院議員(下院テレコミュニケーションインターネット小委員会長、マサチューセッツ州選出、民主党)が今週新たに提出した新法案のもとへと集結している。

 現時点では、BitTorrent陣営には、おそらく自らを擁護する法案がない。広義にネットの中立性を定めた法案を、2006年に下院が否決したため、正式な法律に最も近いものとしては、米連邦通信委員会(FCC)が、消費者は「道理にかなったネットワーク管理を前提に」どのような好みのアプリケーションでも実行する権利を有すると定めた、非公式のブロードバンド原則(PDFファイル)しか存在しない。

 しかし、当然ながら、これはまさにComcastが実際に行っていると主張している点である。

 Markey下院議員の新法案(PDFファイル)は、以前にネットの中立性を目指した法案ほど、厳しい規制を設けていない。例えば、同法案では、FCCに対して、インターネットに関する絶対的な権限を与えていない。その代わりに、FCCが必要な「手続き」を開始し、公開のイベントを開いて、議会へ報告することを義務づけている。

 これでBitTorrent陣営が満足するとは限らない(結局はMarkey下院議員の法案が規制強化され、バーョン2.0として登場しても驚いてはいけない)。しかし、同陣営からすれば、今よりはるかに良い体験を提供するのに役立つであろう。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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