創世者たちが語る、仮想世界の魅力と可能性

秋葉けんた(マイカ)2007年10月29日 08時00分

 Second Lifeをはじめとした仮想世界は、新たなウェブ世界の形として注目されている。自ら仮想世界を作りだし、そこでビジネスを展開しようとしている企業はどんなことを考えているのだろうか。

 10月26日、独立行政法人中小企業基盤整備機構 関東支部の主催で開催された「東京コンテンツマーケット2007」において、「本格化する仮想社会ビジネス最新情報」と題したパネルディスカッションが行われ、仮想世界に参入する3社が仮想世界のもつ可能性やメリットについて語った。

 ソニー・コンピュータエンタテインメント Home(Japan)Project推進室 シニアプロデューサーの赤川良二氏は、現在開発中の「PLAYSTATION Home」について次のように語った。

 「Homeは、PLAYSTATION 3(PS3)というゲームプラットフォームとネットワークを融合させたサービス。ユーザーは、ほぼ100%ゲームユーザーだと考えていい。そうであれば、ユーザーがHomeの中でやりたいことは、やっぱりゲームであるはず」。

 Homeは高い解像度で表現されるバーチャルワールドだ。「PS3ならではのリッチな世界」(赤川氏)と評するように、その映像は既存のバーチャルワールドとは一線を画するものとなっている。また、ユーザー同士がHome内で同じゲームを楽しめる「ゲームローンチ」という機能が提供されるが、これはゲームに軸足を置いた特徴的な機能だといっていいだろう。

 一方、国内発のバーチャルワールド「meet-me」は、実際の東京の区画データを基にしており、東京の街がリアルに再現されるのが特徴。この中で、土地やアイテムに課金するビジネスモデルを採る予定だ。

 meet-meを開発しているココア代表取締役の森山雅勝氏は、このサービスを始めたきっかけについて「メタバーズというサービスに可能性があるな、と思ったから。よくこのタイミングでなぜ、と聞かれるが、たまたまmeet-meを作れる人材がこのタイミングでそろっただけのこと」と語る。

 森山氏はバーチャルワールドについて「まさに試行錯誤のフェーズ」としながらも、インターネットというコスト効率の高いインフラが世界中に網羅され、YouTubeなどを通じて映像や音楽といったコンテンツを簡単に流通させることが可能となっているとした上で、「メタバース内では、高いコスト効率で現実世界と似たようなものを作ることができる」とその魅力を語った。

 キューエンタテインメント 代表取締役CCOの水口哲也氏は自らがプロデュースした「元気ロケッツ(GENKI ROCKETS)」を例に出し、「元気ロケッツのようなコンテンツは、これまではテレビで放映する以外の流通手段はなかった。YouTubeをきっかけに世界中に配信され、地球温暖化のライブ・エイド“LIVE EARTH”の日本でのオープニングアクトにも採用されるまでに至った」と語った。

 これが、森山氏のいう「高いコスト効率」の実例だ。ただ、効率化を求めるのであれば、メタバースを活用するよりウェブサイトを作ったほうがいいという指摘もできる。この点について、森山氏は「解答は見えないが、コミュニケーションは非常に重要な鍵」と話す。

 コンテンツにメッセージ性が高ければ、非常に速く世界中にそのコンテンツが流通する時代が到来している。「意識でつながることこそが、最終的に人間が求めている何かなのかもしれない」(水口氏)と語った。

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