グーグル、世界的なプライバシー標準の策定を提案 - (page 2)

文:Elinor Mills(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年09月14日 16時16分

 DoubleClick買収に対する批判回避が目的か

 しかし、プライバシー擁護派はGoogleの提案について、Googleがオンライン広告会社DoubleClickに対して行った31億ドルでの買収案が連邦政府の審査を受ける中、Googleがプライバシー問題に敏感であることを必死にアピールしようとしているにすぎない、と一蹴した。

 電子プライバシ情報センター(EPIC)のエグゼクティブディレクターであるMarc Rotenberg氏は、APECのプライバシーフレームワークについて「(時代の流れに)逆行している」と非難した。また同氏は、「プライバシー保護を目的とした国際的枠組みの中で(保護のレベルが)最も弱く、欧州の人々が要求している水準、また欧州・米国間の大西洋横断的移動で認められている水準をはるかに下回っている」と指摘した。同氏はその1つの理由として、同枠組みでは消費者が被った損害を証明する必要性に重点が置かれている点を挙げている。こうしたガイドラインは、ID窃盗やセキュリティ違反といった消費者側の犠牲の下にデータが収集されるようになる以前に策定された、とRotenberg氏は指摘する。

 Rotenberg氏は、「Googleのごう慢さや、同社が自分のビジネス慣行の大改革に消極的であることに、世界の多くの国々が辟易しており、同社は今、それらの国々からの巨大な圧力にさらされている」とし、さらに「また同社は、DoubleClickの買収を連邦取引委員会(FTC)に必死に押し通そうと試みているが、これまで、かなりの抵抗にさらされてきた」と語った。

 この点について、Fleischer氏は、DoubleClickの買収案と今回の提案との関連を否定した。

 Fleischer氏は「Googleは、インターネット上で、プライバシー慣行の向上を目的とした多面的な取り組みを続けており、今回の提案もその一環だ」とし、さらに「われわれは人々からある程度のリーダーシップを発揮するよう期待されている。よって、われわれは、DoubleClick買収と関係があろうとなかろうと、今後もリーダーシップを発揮していくつもりだ」と付け加えた。

 Fleischer氏によると、Googleは、間もなくYouTube上で開催予定のバーチャル討論会を通じて同社のメッセージを公に伝える予定だという。また同社は、9月24日にカナダのモントリオール、そして10月にワシントンDCでそれぞれ開催される世界のプライバシーコミッショナーの会議にも出席するという。

 またFleischer氏は、Googleの最高経営責任者(CEO)であるEric Schmidt氏が2、3日以内に「この討論会にコメントを寄せる」としたが、詳述は避けた。

 Googleは、これまでこの件についてMicrosoftやYahooとも話し合っており、両社の関係者がGoogleの取り組みに興味を示したという。

 Microsoftの広報担当は、Googleは同社の具体案についてMicrosoftと議論はしていないとしながらも、Microsoftはここ数年、APEC加盟国とともに、プライバシーフレームワークの策定に取り組んできたと語った。

 またYahooの広報担当者にもコメントを求めたところ次のような回答が返ってきた。「Yahooはユーザーのプライバシー保護に尽力している。プライバシー保護は、われわれが消費者との間で築いてきた信頼関係の基礎である。われわれは、消費者のプライバシー保護のための最善策について、社内、あるいは業界内の他の企業との間で多くの議論を重ねてきた。こうした重要な話し合いは今後数カ月続くだろう」

 Fleischer氏は、フランスのデータ保護当局による情報社会における倫理に関する会議で、UNESCOに対して講演するよう招かれたと述べる。「われわれは、こうした取り組みを公的に立ち上げる適切な場所を探している」(Fleischer氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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